神戸市北区筑紫が丘の路上で2010年10月、高校2年の堤将太さん(当時16)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された当時17歳の少年でパート従業員の男(28)が事件の8日前、現場近くの商業施設でナイフを購入していたことが、捜査関係者への取材でわかった。
事件をめぐっては直接証拠の乏しさから、犯人の割り出しが困難だった。凶器とされるナイフは調理用で全長約20㎝、刃渡り約10センチの片刃。事件の8日前、現場付近の商業施設で同型の刃物の販売記録があり、防犯カメラに男とみられる人物が写っていたという。事件6日後、10月10日に現場から南西約100メートルの側溝で発見され、刃についた血痕のDNA型が将太さんのものと一致し凶器と断定された。しかし樹脂製の柄の部分には指紋など、犯人のものを示す証拠はなかった。
男は、将太さんが事件当時、交際中の女子生徒(当時15)と一緒にいるところを見て「腹が立った」と動機を語り、「(将太さんを)殺すつもりだった」という趣旨の供述をしているという。男は日常的に将太さんと接点はなかったが、普段から女子生徒と仲良く交際しているのを見かけるなどして一方的に憎く思い、ナイフを準備して襲撃の機会をうかがっていた可能性がある。
事件発生当時、複数の近隣住民がラジオ関西の取材に「将太さんが女子生徒と一緒にいる姿を何度か見た」と話していた。捜査本部は、男も事前に2人を見かけて、一方的に将太さんを襲い、殺害したとみている。
女子生徒は当時、犯人について「知らない男だった」と説明。事件直前に2人の立ち位置とは反対側に座り、自分たちを見つめる男について女子生徒は「気持ち悪いね」と話し、将太さんも「そうやな」と答えたという。