10月7日の午後10時41分、首都圏を最大震度5強の地震が起きた。東京23区での震度5強の地震は2011年の東日本大震災以来である。
鉄道の運休などによる混乱が続き、都市機能のもろさを浮き彫りにした。また多くの帰宅困難者や出勤困難者が出る事態にもなった。 多くの鉄道路線で比較的早く運転を再開したが、車両が脱輪した新交通システム「日暮里・舎人(とねり)ライナー」(東京都荒川区~足立区)は、11日の始発から全線で運行が再開された。4日ぶりとなる。
さらに漏水や断水が多数発生、首都圏のみならず全国の大都市部では水道管の老朽化が進んでおり、早急な対応が迫られる。
地質や地震の研究を続ける日本地震学会会員の西影裕一さん(兵庫県姫路市在住)は、この地震での5都県の重軽傷者が8日までに43人・死者0人(総務省消防庁の集計による)だったことに触れ、「関西でも看過できない、起こりうる現実」と深刻にとらえている。阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などを目の当たりにし、2050年までに70%もの確率で起きる可能性が指摘される「南海トラフ巨大地震」への備えは十分なのか、懸念されるからだ。西影さんは次のように指摘する。
今回の地震は千葉県北西部で発生し、マグニチュード5.9で深さは75kmだった。そもそも地震の発生には、プレート境界型地震(海溝型地震)と内陸型地震の2通りがある。
日本に向かってやってくるプレート は、太平洋側から1年ごとに約5cm、大陸側からは同じく1年ごとに約2cm。これらが日本にあるプレートを押しており、日本側のプレートは沈んでたわみ、沈み込む限度がくると跳ね上がり巨大地震が起こる。これがプレート境界型地震である。
図のように日本列島下にはフィリピン海プレートが潜り込んでいるが、さらにその下に太平洋プレートが潜り込んでいる。今回の地震はフィリピン海プレートと太平洋プレートの境界で起こったようなので、深さが75kmもあった。南海トラフ地震や東日本大震災はプレート境界型地震である。