音響機材には、あらゆる種類のメーターが付いています。それぞれどのような特性があり、メーターによって何がわかるのでしょうか? 今回はさまざまな音響関連メーターについて、普段はラジオを陰で支えている技術スタッフが、ラジオ番組のなかで解説しました。
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ラジオ局のスタジオのコントロールルームには、音を計測するメーターがずらりと並んでいます。体重計のように針が触れるアナログのものや、温度計のように色が変わるタイプのものなど、形はさまざまですが、その役割もいろいろな違いがあります。
◆VUメーター
よくアナログミキサーについているのが「VUメーター」です。VUとは英語の「volume unit」のことで、1939年に発明されたもので、はじめは、電話などの通信機器の音量レベルを監視するために開発されました。VUメーターは人間の聴感(音の聞こえる感覚)に近い動きをすると言われ、単純に音の大きさだけではなく、低音感やダイナミクス(音の強弱)を探るのにも便利です。
ラジオの放送では、VUメーターで「0」の値(一定の音量感を保つために複数の機器がバランス良く働いていることを示す)まで針が触れるよう、ミキサーが調整を行っています。「0」を超えると、音が割れたり歪んだりする可能性が生じます。この針の動きが、人間の耳の聞こえ方「聴感」に似ています。実はVUメーターは、音が鳴ったあと0.3秒遅れて針が反応するため、瞬発的な音(音量)には針は反応しません。これは、人間には短い音が実際よりも小さく聴こえるという現象に似ています。
◆ピークメーター
同じくよく使われているのが「ピークメーター」です。これはパソコンの音楽編集ソフトなどでよく見られます。音の波を表す「波形」の最大値を示すもので、音に対する反応が早いという特徴があります。VUメーターとは少し考え方が違い、飽和状態の音量=音が割れも歪みもしない上限値を「0dB」と規定。それを超えることのない範囲の“絶対的レベル”が「dBFs(デジタルフルスケール)」という値で表されます。人間は一瞬の大音量には敏感ではありませんが、このピークメーターを使うことで音の歪みを調べることができます。
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【放送音声】2021年11月7日放送回