「不妊症」とは一般的に、一定期間(約1年)避妊をせずに夫婦生活を持っても妊娠に至らない状態のことを指しますが、クリニックで検査をしても体には問題ないと言われ、ハッキリとした原因を特定できない夫婦が増えてきているといいます。
これまで不妊治療も含め、医療の分野では、薬・手術での治療を基本とする西洋医学が中心となってきました。しかし近年、世界中で、西洋医学では解決できない病気や体の問題を補完するとして、様々な代替医療が注目されており、その一つとして、東洋医学が海外でも急速に広まってきています。その領域は、がん治療や不妊治療・メンタルケアなど多岐に渡ります。
そこで妊活・不妊治療を始めとした、女性の体質改善が専門の「れんげ鍼灸整体院(兵庫県西宮市)」の山城院長に話を聞きました。
――病院に行っても診断名がつかないのに、なぜか妊娠しづらいという女性の体には、一体、何が起こっているのでしょうか?
クリニックに通院してもなかなか妊娠しない方の多くは、子宮・卵巣の血流の悪化、他の内臓や脳の機能低下、メンタルの不安定など、さまざまな問題が起こっています。たとえば、内臓の弱りによる体のゆがみによって、胴体の一番下にある子宮や卵巣・腸が圧迫されます。婦人科クリニックでは卵管造影検査を行うことができますが、もし子宮が左右どちらかに傾いていたり、卵管が子宮後方中央に移動していたりという状態だったとしても、クリニックでは正常と判断されるのです。これは臓器の下垂が原因となっている場合もあり、大きな問題が存在しています。骨盤内に何かしらの圧迫があることにより、酸素不足、消化・吸収不良、子宮や卵巣への血流低下などが起きてしまい、エネルギーの不足・血液の不足・冷えにつながってしまいます。そして結果的に、「卵子の質の低下」と「子宮内環境の低下」が起きるのです。
――体のゆがみ・内臓の弱りが、妊娠しづらい体質につながってしまうということですね。病院に行っても正常と判断されてしまうというのは、なぜでしょうか?
西洋医学では薬、手術での治療が基本となりますので、それらで治せないものについては、診断しない・診断できないのです。しかし卵巣の血流状態が悪いと、受精率・妊娠率が低くなるというデータもあります。血流が悪いことにより、酸素が卵子まで運ばれず、卵子の発育はもちろん、子宮内膜も発育しにくくなってしまうのです。それらの治療には、体質の改善が必要となってきます。
――不妊治療専門のクリニックでは、一般的にはまずタイミング法、次に人工授精、そして体外受精、というステップを踏むことが多いですね。しかし東洋医学では、体質改善という考えをもとに、体や内臓のゆがみ・冷えなどを整体や鍼灸などで治療していくということですね。
妊娠を目指す方も含めて、心・体・エネルギーの調和を軸に考えています。もし根本にある体質改善をせずに、人工授精・体外受精を行ったとしても、なかなか良い結果に結びつきづらく、お金や焦りによる心への負担、ホルモン補充療法の副作用などによる体への負担が長期的にかかることで、妊娠から遠ざかってしまうという可能性もあります。しかし西洋医学を否定しているわけではなく、それぞれの役割が異なるのです。たとえば、体外受精の前後で効果的な鍼施術を行うことで、妊娠率が高まったというデータもあります。当院では、不妊症専門の病院(オガタレディースクリニック)とも提携しており、最初に体の状態の現在地をしっかりと把握したうえで、プランニングを立てていきます。それぞれに来院される方の状態によっては、双方に紹介をすることもあります。西洋医学と東洋医学の力を合わせて、より良い治療を行っていくことが大切だと考えます。