野球実況でもよく聞く「すっぽ抜け」 「すっぽ」って? 大学教授にも聞いてみた | ラジトピ ラジオ関西トピックス

野球実況でもよく聞く「すっぽ抜け」 「すっぽ」って? 大学教授にも聞いてみた

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 私も、スポーツ実況アナウンサーの世界の隅っこで、野球や陸上などを中心にしゃべってきました。特に野球は、高校野球からプロ野球までいろいろな試合を実況してきました。

 そのなかで時々発したのが「すっぽ抜け」。「ピッチャー第1球を投げました。あっ!  すっぽ抜け。とんでもないところにボールが行きました」など、投手の投げたボールが、思っていたところではなく、とんでもない方向へ飛んでいく時に使います。

 さて、この「すっぽ抜け」。果たしてどのような意味でしょうか?

『広辞苑 第七版』(岩波書店)には、「(1)すっぽ抜けること。(2)全く忘れること」とあります。そして「すっぽ抜ける」の項目に「(1)はまっていたものが、何かの拍子に抜ける。(2)野球などで、投球の際に球がうまく指にかからず、狙いが外れる…」などと出ていました。

『新明解国語辞典 第八版』(三省堂)にも、「すっぽ抜ける」の項目の2番目に「[野球で多く、投手の投げたボールが]コントロールを失って、目的の所(コース)から外れる」(※1)と載っていました。

 意味からすると、私たちの使用法に間違いはありませんでしたが、ここへきて気になるのは「すっぽ」です。

 調べた範囲では、残念ながら明確な答えは見つかりませんでした。そこで、甲南大学文学部の都染直也教授(社会言語学)に伺うと「(ボールが)『スポッ』と抜けたように手から離れてしまい、痛打されたというイメージ通りでしょうか」とのことでした。確かに、瓶の蓋などを開けた時に、「スポッ」なんていう音がします。手から離れたボールがスポッと抜けていって……こうした擬音から表現として定着した可能性があります。

 似たような言葉に「すっぽかし」や「すっぽり」などがありますが、これらもそういった意味や擬音からきているのでしょうか。

「すっぽかし」は「(1)そのままにして捨て置く。ほかす。(2)約束や義務など、するはずのことをしないでおく」。「すっぽり」は「(1)隙間なくはまったり、覆われていたりしたものが勢いよく抜け出るさま。(以下省略)」(いずれも『広辞苑 第七版』)とあります。


◆「ことばコトバ」アーカイブ記事

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