来年の干支は「寅」。大きな体と鋭い牙を持つトラは、“決断力”や“才知”の象徴とも言われる。神戸市立王子動物園(兵庫県神戸市灘区)には、現在2頭のアムールトラがいる。公開中の「レーニャ」、そして今年11月に新たに来園した「ショウヘイ」だ。ショウヘイも、お披露目に向けて準備を進めている。
ネコ科の動物の中では最大のアムールトラ。体重が300キロを超えることもある。野生の暮らしでは、母子以外は単独で生活し、シカなどの大型草食動物や小動物を獲物とする。主に竹薮の中で暮らすため、美しいしま模様は絶好の保護色となっている。
アムールトラは「シベリアトラ」とも呼ばれる。ロシアのアムール川周辺という最も寒い地域に生息しているが、野生環境で確認されているのはわずか約600頭。いくつかの亜種(同じ種のうち、住む地域の気候や環境などによって差が見られる場合に区別)の中でも希少な存在だ。
環境破壊や密猟などの影響で絶滅が危ぶまれることから、国際的な種管理計画のもと、世界中の動物園が繁殖に取り組んでいる。希少動物を適正に繁殖するための「血統登録制度」では、国内では王子動物園が、国際的にはドイツのライプチヒ動物園が、アムールトラの血統登録を管理している。同園は日本で初めてアムールトラを飼育し、繁殖にも成功した。
同園で公開されているレーニャはメスで、現在4歳。世界動物園水族館協会(本部:スイス)の種管理計画「2018 年アムールトラ管理計画書」に基づき、2019年にライプチヒ動物園から来園した。一方、ショウヘイは、オスの2歳。今年11月18日に多摩動物公園(東京都日野市)から来園した。名前は、アメリカ大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手に由来している。
ショウヘイは、現在お披露目に向けて“練習中”だ。ただ、トラは非常に繊細な動物。環境に慣れるまでは時間がかかり、レーニャはお披露目までに8カ月ほどの時間を要したそう。ショウヘイのお披露目もまだしばらく先のことになりそうだが、同園では、大谷選手にあやかって将来的には園の“大スター”になることを期待しているという。
また今後、レーニャとショウヘイの間では繁殖も目指す。最初は、おり越しににおいを嗅がせるなどし、同居に向けては時間をかけて取り組んでいくという。
神戸市立王子動物園飼育展示係長で獣医師の谷口祥介さんは「新しくやってきたショウヘイの公開に向けて、飼育員が時間をかけて取り組んでいる。ぜひ来年の干支であるトラを見に来てほしい」と話す。
◆神戸市立王子動物園
〒657-0838 兵庫県神戸市灘区王子町3-1
営業時間: 3月~10月 9:00~17:00、11月~2月 9:00~16:30(最終入園時刻は、それぞれ閉園の30分前)
休園日:毎週水曜、年末年始(12月29日~1月1日)
料金:大人(高校生以上)…600円、中学生・小学生・幼児…無料
電話:078-861-5624(代表)
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