山陽電鉄(本社・神戸市長田区)が、知的障がいがある人らが駅や電車内で取りやすい行動に理解を求める啓発ポスター約1000枚を制作、昨年(2021年)6月から各車両や系列のバス車内などに掲示している。
山陽電鉄ではバリアフリー対策として、駅構内や電車・バス社内などでの声掛け・見守りなどのサービス提供に取り組み、ハード面の整備も進めている。ポスターはソフト面での「こころのバリアフリー」。
キャッチフレーズは「私のことを知って下さい」。イラストは車掌の樫原雛乃さんが考案した。「当事者と同じ目線で問題を考えたかった」のがきっかけ。
ポスターは「おおごえ(を出す)」「うろうろ(歩く)」「ぶつぶつ(言う)」など障がいの特性による五つの行動を色つきのイラストで紹介。「大声を出すのは不安を抑えて落ち着こうとするため」「ぶつぶつ言うのは気持ちの整理をするため」と理由も説明する。
「こうした行動が障がいの特性によるものとわかれば、当事者を誤解する人が減る」との考えで、1年ほど前から障がいへの理解について駅員や乗員らにアンケートを実施するなどし、障がいがある人の保護者らでつくる 「公益財団法人・兵庫県手をつなぐ育成会」と「明石地区手をつなぐ育成会」と相談しながらポスターの制作を進めてきた。
「ユニバーサルデザイン 2020 行動計画(2017年2月・ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議決定)」では、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニ ケーションをとり、支え合うことが大切とされ、その実現のためにはひとりひとりが具体的な行動を起こし継続することが必要とされている。こうしたことから山陽電鉄では、「ポスターで地域・駅・列車をつなぐハートフル活動」と位置付け、山陽電車・バスの車内 と山陽電車の全49駅に、当面の間掲出する。