「一人だけど“独り”じゃない」 障がいある家族の物語を名曲が温かく紡ぐ 映画『Coda あいのうた』レビュー | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「一人だけど“独り”じゃない」 障がいある家族の物語を名曲が温かく紡ぐ 映画『Coda あいのうた』レビュー

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 アカデミー賞の前哨戦ともされるサンダンス映画祭で、史上最多の4冠に輝いた『Coda あいのうた』。今作を、映画をこよなく愛するラジオパーソナリティー・増井孝子さんが解説します。

(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

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家族の中で、1人だけみんなと違うって、どんな感じなのだろう。アメリカ・マサチューセッツ州のグロスターに暮らす高校生のルビー(エミリア・ジョーンズ)。ともに漁師である父のフランク・ロッシ(トロイ・コッツァー)と兄のレオ(ダニエル・デュラント)、そして彼らを助けて働く母ジャッキー(マーリー・マトリン)の家族3人は、皆耳が不自由だ。家族の中で耳が聞こえるのはルビーだけ。だから、仕事を手伝い、家族と世の中をつなぐ「通訳係」としても大活躍する日々だった。

(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

 新学期が始まった。ルビーは、秘かに思いを寄せるクラスメイトのマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)と同じ合唱クラブに参加した。顧問の“V先生”ことベルナルド・ヴィラボロス(エウヘニオ・デルベス)は彼女の才能を見抜き、秋のコンサートで、マイルズとデュエットで歌うように命じた。そして、名門のバークリー音楽大学を目指すことを勧めたうえ、夜間と休日の特訓も引き受けてくれるという。

(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

ルビーは類まれな歌の才能を持っていた。けれど、家族はそのことを知る術がなかった。仕事上でも生活していく中でも、家族と健聴者をつなぐ重要なポジションを担うルビーは、家族を捨てて音楽の道を選び、遠くの大学へ進学することには踏み切れない。

 折しも、通訳としてのルビーの出番はますます増えていた。漁獲制限を課せられたことを発端に、ロッシ家は、漁師仲間と協同組合を立ち上げる羽目に陥っていたのだ。家族の為に自分の夢を諦めようとするルビー。両親は喜ぶが、兄は「家族の犠牲になることはない」と怒る。

 秋の日に開かれたコンサート。ルビーは、客席で涙する人も出るほど素晴らしい歌声を披露した。その才能に、父はある意外な方法で気づき、確信し、そして大きな決断を下す……。


【『Coda あいのうた』公式サイト】

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