日本海に面し、水産資源が豊富な鳥取県。カニの水揚量や消費量が日本一であることから、秋冬のカニの漁獲時期には「蟹取県」と名乗り、地産のカニをアピールしている。
ゆででよし、焼いてよし、鍋にしても刺身にしてもよし。様々な食べ方を楽しむことができるカニ。鳥取では、「松葉ガニ」と「ベニズワイガニ」に注目だ。
成長したズワイガニの雄で、山陰地方では「松葉ガニ」として親しまれているカニは、水深200~400メートルに生息し、底引き網漁で捕獲される。生きている時は黄褐色で、加熱するとオレンジ色になり、ぎっしり詰まった身が特徴だ。11月6日から3月20日頃までが漁期とされている。
また、水深800~2000メートルの深海で活動し、9月~6月頃まで、かにかご網漁でとれる「ベニズワイガニ」は、生きている時も鮮やかな紅色で、味はジュ―シーなカニだ。
鳥取の境港での水揚げが日本一多い「ベニズワイガニ」は、地元では、鳥取米子の山陰名物押し寿司でも堪能できる。「吾左衛門鮓」(米吾)のカニバージョンとなる「吾左衛門鮓 蟹」は、シャリの上に「ベニズワイガニ」のほぐし身と棒身がのり、昆布が巻かれたもの。この押し寿司「吾左衛門鮓」は江戸時代、おにぎりにした酢飯に、酢でしめた鯖をのせ、ワカメで巻いて竹皮で包んで、航海する船子たちに持たせた弁当がルーツとされている。
一方、カニの他にも、鳥取県では「モサエビ」「シロイカ」などの海産物が人気。正式名称をクロザコエビという「モサエビ」は、実はカニとほぼ同時期の、9月~5月にとれる。弾力のある食感や強いうま味が特徴で、甘エビよりも甘い。鮮度の劣化が早いため遠方への出荷が難しく、地元でのみ味わえる“幻のエビ”と言われる。それに対して、ケンサキイカ「シロイカ」は、初夏~晩秋にかけてがシーズン。甘みが強く濃厚な味わいが特徴だ。刺身で食べるのがおすすめで、こりこりした食感がとても美味。カニとともに、モサエビ、シロイカも、鳥取に来県時はぜひ味わっておきたい海の幸だ。