瀬戸内に春の訪れを告げるイカナゴの「シンコ(※新子=稚魚)漁」が大阪湾と播磨灘で1日、解禁され、播磨灘・大阪湾の各港から出た漁船は午前6時すぎに、2隻の船で袋状の網を引っ張る「船曳き網(ふなびきあみ)」を一斉に下ろした。
イカナゴの稚魚「シンコ」は甘辛く炊く郷土料理「くぎ煮」で知られる。
ここ数年の不漁傾向は深刻で、去年の漁獲量は約147トンとこれまでで最少で、水揚げが全くなかった港もあったほど。5年連続の不漁が予想される2021年は去年より5日早い解禁となった。
明石海峡では、海の水質が改善され海中の窒素やリン分が減少したのに伴いエサとなるプランクトンが減ったのも、イカナゴの生育に影響したと分析されている。
去年の初競りで、不漁が続く近年では最も高値となる1カゴ(約25㎏)当たり9万5000円の初値が付いた兵庫県明石市の林崎漁港では、今年は8万円の値が付いた。
関係者は、「今年は小さくなく、良いイカナゴが取れた。大衆魚だが近年は単価が高くなっている。今後、資源回復を目指したい」と話した。