朝日新聞阪神支局(兵庫県西宮市)が襲撃され、記者2人が死傷した事件から5月3日、35年を迎えた。朝日新聞社は3日夜、阪神支局で「しのぶ会」を開き、小林剛大阪本社代表、西見誠一阪神支局長ら約10人が参加。事件発生時刻に合わせ、全員で1分間黙とうした。
また殺害された小尻知博記者(当時29歳)を追悼する祭壇を設けた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため3年連続で記帳台は設けず、支局内にある襲撃事件資料室の一般開放も見送った。
3日午後8時15分に開かれた「しのぶ会」では、杉林浩典編集局長が、ロシアによるウクライナ軍事侵攻について挙げ、「言論の自由はいま、世界各地で危機に直面している。国家権力が力ずくで市民を抑え込み、情報操作する動きも頻発しています。自国の『正義』をふりかざして隣国を侵略する戦争がウクライナで起きている。自分と異なる考えを許さず、暴力で封じ込める行為は、決して許してはならない。民主主義の基本である、誰もが自由に意見を語り合える社会を守り抜くことはメディアの務めだ」と話した。
この日は、朝日新聞大阪本社の幹部3人が広島県呉市にある小尻記者の墓を訪れ手を合わせた。