「本物の警察官のコスプレをする」「マッチングアプリで医者と偽る」←犯罪になる可能性も 弁護士が解説

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 日常生活において、身近で比較的軽い違法行為を取り締まるために「軽犯罪法」という法律が存在します。「軽犯罪」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどのような行為が軽犯罪にあたるのか詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。警視庁の統計によると、令和2年(2020年)に、東京都内の軽犯罪法違反の検挙数で圧倒的に多かったのが「凶器携帯」です。軽犯罪法では、正当な理由なく刃物など凶器となりうる器具を持ち歩くことを禁止としており、警視庁のホームページでも「ナイフなどの刃物を護身用に持ち歩くのは正当な理由には当たりません」と注意を促しています。

 凶器携帯を含め、軽犯罪法では33種類の犯罪が規定されています。ほかに軽犯罪法違反となりうる身近なケースについて、「かなえ法律事務所」(神戸市中央区)の森本圭典弁護士に聞いてみました。

(1)マッチングアプリで特定の職業を詐称すると犯罪になる!?

 出会いの方法の定番となったマッチングアプリですが、「詐称」のトラブルは絶えないようです。男性なら身長や年収を盛ったり、中には職業を偽ったりしているという人も。森本弁護士によると「軽犯罪法の15号では『官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、 法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくは これらに似せて作つた物を用いた者』を処罰すると規定しています」とのこと。「官公職」とは国家公務員・地方公務員のこと、「法令で定められた称号」とは医師や弁護士などを指します。

 つまり、官公職である官僚や警察官、教職、法令で定められた称号である医師や弁護士だと偽って名乗ると、軽犯罪法違反となるおそれがあります。例えば、ハロウィンのコスプレで本物と全く同じ警察官の制服を着た場合や、マッチングアプリで出会った人に対して弁護士と偽って名乗ると、軽犯罪法違反となる恐れがあります(ただし、弁護士法74条に反する場合には、弁護士法の適用が優先されます。)。

 過去の事例として、現役の裁判官が検事総長を名乗り総理大臣に電話をかけたという事件で、この軽犯罪法の15号が適用されたケースがあります。ハロウィンでのコスプレや、出会いの場で“弁護士”と偽ったところで、実際に摘発される可能性は低いかもしれませんが、軽い気持ちで嘘を吐くのは、相手のためだけでなく自身のためにも気をつけた方が良いでしょう。

(2)ライブ配信で投げ銭を要求すると犯罪になる!?


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