安倍晋三元首相が銃撃されて3日が過ぎ、参議院議員選挙の投開票から一夜明けた11日も、奈良市・近鉄大和西大寺駅前の事件現場近くに設けられた献花台には、途切れることなく人が訪れている。
京都府木津川市の40代女性は「政治犯ではなく、単なる怨恨ともいえる動機で銃撃されたことがやり切れない。日本は銃の規制が厳しいと言われて安心して生活しているが、銃を簡単に製造できて、テロになり得ることが恐ろしい。国は早く対策を立てるべき。安倍さんは『アベノミクス』に象徴される経済政策や外交など、歴史に残ることを打ち出してきたのは事実であり、すごい政治家だった」と話した。
奈良市の70代男性は「どうしても花を手向けたかった。世界一安全と言われる日本で、本当にこんなことが起きたのかと思うと、ただただ驚きを隠せない。安倍さんについては、首相在任中の7年8か月間、ずっと応援してきた。確かに賛否両論あるが、外交や経済政策への評価は高いし、世界の中の日本という、存在感を示した」と評価した。その一方で「ただ、惜しまれるのは拉致問題について、志半ばで退陣したこと。そして残念なのは、森友学園問題や桜を観る会の疑惑など、真相が明らかになっていないことが多かったこと」と苦言を呈した。
そして、「アメリカ・トランプ大統領に対峙するようにドイツ・メルケル首相が向かい合い、その間で腕組みをする安倍さんの姿をとらえた画像が海外メディアで報じられたが(2018年・カナダでのG7サミット)、あれは象徴的だった」と振り返った。
奈良県香芝市と橿原市の男子学生(いずれも16歳・高校1年)は「銃撃は許せない。民主主義の日本で、こんな形で犯罪が起きるなんてあり得ない。怒りが収まらない。僕たちの世代で言えば、物心ついたころから日本の政治家のトップ、日本の顔と言えば安倍晋三さん。まだ選挙権はないが、昨日(7月10日)の参議院選挙の投開票を見るにつけ、やはり投票は重要だということを実感するし、(犯人の男の動機がどうあれ)、こうした銃撃などの手段で訴えるやり方は民主主義ではない」と答えた。