日本では、人口の約半分が使用していると言われるメガネ。毎日かける生活必需品で、オシャレにこだわりたいという人も多いのではないだろうか。幻想的な光沢感が魅力のべっ甲や18金などを用いた、高級メガネフレームの製造卸を行っているメーカーが兵庫県神戸市にある。創業して38年のオプトニシカワ株式会社(長田区)だ。代表取締役社長の西川矗(なおい)さんに、芸術品的要素もある高級メガネフレームの魅力などについて聞いた。
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西川さんは、もともと大阪で繊維の業務に携わっていたが、知り合いから声をかけられて今の仕事を始めたそう。せっかくメガネを取り扱うのなら最高のものを作ろうと考え、べっ甲のフレームに行き着いたのだという。低価格を打ち出したチェーン店も増えるなか、高級メガネフレームの製造で顧客の開拓を図っている。
べっ甲の原材料は、ウミガメの一種であるタイマイの甲羅。タイマイはカリブ海やインド洋などの赤道に近い温かい海に生息し、甲羅は大きいもので1メートル以上に及ぶ。複雑な構造から生み出される美しい模様や色、また、温めると自在に曲がる性質から、日本では主に江戸時代から伝統工芸として発展し、さまざまな装飾品や生活用具が作られてきた。
しかし、1993年締結のワシントン条約により甲羅の輸入が禁止され、現在はその希少性が注目されている。同社では、沖縄・石垣島で養殖されたタイマイを使用することもあるそう。
同社が製造するべっ甲フレームは、手ごろなものは10万円から、高級なものとなると500万円に及ぶのだとか。高価だが補修ができるのが利点で、愛用者の中には著名人もいるという。
自らデザインも手掛ける西川さんは「べっ甲は優しいフィット感が大きな魅力で、一生ものとして使えます。若い人でも、1本くらい持っておこうという人もいます。リピーターとして、何種類も買い求められることが多いです」と話す。
べっ甲のほか、バッファローホーン(陸牛の角)を使ったフレームも。べっ甲に似た飴色と趣のある模様、また独特な乳白色など、高級感漂う風合いを持ち合わせている。肌への当たりが良く、快適なかけ心地の天然素材フレームとして幅広い年齢層に好評だという。