「最も手に入るロレックス」が『月9』キムタク着用で入手困難に… 映画・ドラマで印象的だった腕時計 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「最も手に入るロレックス」が『月9』キムタク着用で入手困難に… 映画・ドラマで印象的だった腕時計

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 映画やドラマを見ている時に、出演者の左手首(もしくは右手首)にばかり注目してしまい、「結局どんなストーリーだったっけ?」となったことはありませんか? 映像作品の中で、腕時計は「名脇役」的な存在で、制作陣はもちろん、俳優たちもこだわりを持っている部分です。国内外の映像作品を例に、有名なモデルについて、登録者数が6万3千人を超える「腕時計YouTuber」であるRYさんが、『やさしい腕時計』(ラジオ関西Podcast)で解説しました。

◆映画『栄光のル・マン』とタグ・ホイヤー「モナコ」の深い関係

 最も腕時計が似合う映像作品のジャンルと言っても過言でないのは、一秒を競う「カーレース」ではないでしょうか。RYさんが、腕時計が印象に残っている映画の一つとして挙げるのが、『栄光のル・マン』(1971年公開)です。

 主演はスティーブ・マックイーン。この映画で、右手につけられていたのがホイヤー社(現在のタグ・ホイヤー社)の「モナコ」でした。作中に登場する「モナコ」はリュウズ(ゼンマイを巻いたり、時刻を調整したりするためのネジ)が一般のものとは逆の「左側」にあるのが特徴でした。

 一般的に、腕時計は右利きの人が左手首に付けることが想定されているため、リュウズは操作がしやすいよう、腕時計の右側にあります。腕時計の左側にリュウズがあるものは「逆リュウズ」と呼ばれ、左利き用のモデルです。左利きでないマックイーンが、右手首に時計を付けたのは、シフトチェンジをする側に付けておいた方が見やすいから、という説があるようです

 作中でマックイーンが着用していた白のレーシングスーツには、「HEUER(ホイヤー)」のブランドロゴが配されていました。ですから、「モナコ」を着用したのは映画とブランドとのタイアップなのでは? と見る人もいました。ここにも、深いストーリーがあります。

 2009年にタグ・ホイヤー社が発表したとある資料を読んだ、時計専門誌の記者の記事を引用すると、そこには、『「モナコ」着用を決めたのは他でもなく、マックイーン自身の意志だった』と記されているそうです。

 マックイーンは、映画の「役作り」のため、親友であるスイス人のプロドライバーにアドバイスを求めました。親友が実際に着用していたのが、先述したホイヤー社のブランドロゴが入った白のレーシングスーツであり、マックイーンは大きな影響を受けたことになります。

 しかしマックイーンは、スーツは真似ても、なぜか腕時計だけは、親友が付けていた腕時計のホイヤー社「オータヴィア」ではなく、「モナコ」を選択しました。当時、「角型の防水時計」という特長は極めて個性的であり、「人気モデル」とは言えなかった「モナコ」を“あえて”選んだところに、マックイーンの強いこだわりを感じますね。

 ちなみに、「ル・マン」と「モナコ」は共にレースの名前です。であるならば、他のレース名を連想させる「モナコ」を作中で使うのは「ご法度」だったかもしれませんね。これはあくまで想像ですが、マックイーンが強く希望したことと、あまり売れていない腕時計だったから、という事情があって、製作側も目をつぶったのかもしれません。

「モナコ」は映画の公開後、世に知れ渡る事となりましたが、しばらく売上は悪く、映画公開後の1970年代半ばに生産中止となってしまいます。しかしその後、1997年に復活してからは、タグ・ホイヤー社の主力製品の一つとなっています。

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