イタリア「サンタ・マリア・イン・コスメディン教会」の壁にある『真実の口』。円形の石板にぽっかりと口をひらいた男性が彫刻された、どこかおどろおどろしいビジュアル……。オードリー・ヘップバーン主演の名作映画『ローマの休日』に登場したことで知ったという人もいるのではないでしょうか?
また、石板の口部分に手を入れ「ウソをつくと手が抜けなくなってしまう」という伝説でも有名。イタリアに行ったら一度は足を運びたい名所です。『ローマの休日』のアン王女とジョーごっこをしてみたいと夢見る人も多いのでは?
ですがこの『真実の口』、なんと大阪にもあるのです……!
ナニワ版『真実の口』があるのは、JR・京阪の京橋駅を北に進んだ先にある「新京橋商店街」。全長170メートルのアーケード入り口にドカンと鎮座しており、遠くからでもすぐに分かるその姿は、まるで商店街を訪れるお客を待ち構えているかのよう。
当然ながら本家のレプリカですが、そもそもなぜ京橋に設置されているのでしょうか? 実はローマと姉妹都市であるとか、映画『ローマの休日』に関わりがあるとか……? ムクムクと湧きあがる謎を解決すべく、新京橋商店街事務局(大阪市都島区)の理事長に疑問をぶつけてみました。
「『真実の口』が誕生したのは1992年のことです。商店街のアーケードは数十年に1度改築をする必要があるのですが、改築するにあたり『せっかくだから商店街のシンボルのようなものを作ろう』という流れがきっかけでした」(理事長)
「いくつか候補がありまして。たとえば、商店街内の柱に花を飾るという案も出ていました。チューリップの生産地として有名で、窓に花を飾る風習があるオランダにあやかろうということで、オランダ領事館に許可をもらうところまで話が進んでいたんです。でも、京橋の古き良き“下町らしさ”をより感じてもらうには……と考えたすえ、最終的にローマの下町をイメージした『真実の口』に決まったんです」(理事長)
『真実の口』を設置するにあたり、イタリアの領事館に許可を取り、ローマの本家を忠実に再現。ただし、サイズだけは「小さいと目立たないし、せっかくだから大きくしよう!」という発想で、壁を覆うほどの大きさとなりました。