「ステンレス」と「チタン」どちらを選ぶべき? 腕時計好きならこだわりたい「外装素材」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「ステンレス」と「チタン」どちらを選ぶべき? 腕時計好きならこだわりたい「外装素材」

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 腕時計のムーブメントを保護する、本体の「ケース」に使用される素材は様々です。その素材によって、時計の雰囲気は変わり、値段も大きく変化します。どんな金属が使われているのでしょうか? 登録者数が6万4千人を超える「腕時計YouTuber」であるRYさんが、『やさしい腕時計』(ラジオ関西Podcast)で解説しました。

◆最も多く腕時計ケース素材に使用されている「ステンレス鋼」

 現在「腕時計ケース」に最も多く採用されている素材は、「ステンレス鋼」です。ステンレスの主成分は鉄(Fe)で、そこにクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)などを添加した合金のことです。

 鉄の最大の弱点は空気中で酸素(O)と結びつく事で、「酸化=錆び」が発生することです。ステンレス鋼は、その「弱点」を補うべく添加されたたクロムが酸素と結びつき、鉄表面に「薄い透明な皮膜」を生成する事で鉄の酸化を防止するのが特徴です。

腕時計ケースやブレスレットに最も多く採用されている316Lステンレス鋼を採用した、TISSOT T-ONE。多くの腕時計に採用されているのは加工性の良さと、腕時計に最適な「強さ」を備えているから。ステンレス鋼の数字の後ろに記載されたLはLow carbon(低炭素)の略(Instagram@goroandoの投稿より)
腕時計ケースやブレスレットに最も多く採用されている316Lステンレス鋼を採用した、TISSOT T-ONE。多くの腕時計に採用されているのは加工性の良さと、腕時計に最適な「強さ」を備えているから。ステンレス鋼の数字の後ろに記載されたLはLow carbon(低炭素)の略(Instagram@goroandoの投稿より)

 その腕時計用ステンレス鋼の中で最も使われているのが「316L」です。「316L」は鉄、クロム、ニッケルにモリブデンを加えた非磁性体(磁石にならない)のステンレスです。磁気を嫌うムーブメントを保護するのに最適な金属であり、そのことで多くのブランドに採用されていると考えられます。

 その他のステンレスではロレックスが採用している「904L」が有名です。これは316Lと同じ添加元素であるクロム、ニッケル、モリブデンの含有量を増やし、さらに銅(Cu)も加えています。904Lは316Lよりも「硬い」事が特徴ですが、一方で加工(削る作業など)は難しくなります。

ロレックスサブマリーナー。ロレックスは現行品は全て904Lを採用している(Instagram@ry_a_life_with_watchesさんの投稿より)
ロレックスサブマリーナー。ロレックスは現行品は全て904Lを採用している(Instagram@ry_a_life_with_watchesさんの投稿より)

 また2019年には、腕時計ブランド・ショパールと、オーストリアの鉄鋼会社とが共同で開発した新規格のステンレス、「ルーセント・スティール」が話題となりました。このステンレスの組成は非公表ですが、各種時計メディアの取材によると、ニッケルの含有量を極力減らしてモリブデンを増やしているとされています。

 ニッケルの含有量を減らす理由は人体への「金属アレルギー」対策です。腕時計のケース素材は長時間肌へ直接触れることから、これからは加工性以外にも、人体への影響を考慮した素材開発が求められるでしょう。

ショパールのアイコンモデル「アルパインイーグル」。「ルーセントスティール」は通常のステンレスより白銀色に輝く事が特徴。アルプスの「雪原の色」をモチーフにしているという説もある(Instagram@goroandoさんの投稿より)
ショパールのアイコンモデル「アルパインイーグル」。「ルーセントスティール」は通常のステンレスより白銀色に輝く事が特徴。アルプスの「雪原の色」をモチーフにしているという説もある(Instagram@goroandoさんの投稿より)

◆貴金属(ゴールド)を使用したケース素材の人気は不変!

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