神戸の老舗ベーカリー「ケルン」(本社=神戸市東灘区)。人気の「チョコッぺ」をはじめ、さまざまな種類のパンが並びます。1946年創業のケルンが、昨年12月に環境問題や社会問題の解決につながる新しいパンの販売システムを始めました。パンの街・神戸で誕生した新たな取り組み「ツナグパン」について、考案者の3代目代表取締役・壷井豪さんに話を聞きました。
◆フードロスを削減する経済循環型のシステム
「売れ残ったパンの多くは処分され、フードロスが絶えないのが現状です。そのうえ、ゴミ収集や焼却の際にはCO2が排出されます。こんな環境にも社会にも悪循環な仕組みを改善したいと考えました」と話す壷井さん。3~4年の構想を経て誕生したのが、『ツナグパン』のシステムです。
◆ワクワク感も楽しめる! おいしくておトクな『ツナグパン』
オリジナルの紙袋に、前日に売れ残ったパン(傷みにくく日持ちのするもの)をアソートで10〜20個入れます。それを1袋1600円(税抜)で、翌日に各ケルン店頭にて販売。定価の6割ほどとお得な価格なうえ、何が入っているか分からないワクワク感を楽しみつつパンを購入できます。『ツナグパン』を始めてから、廃棄ロス率は全体の11%から2%に減少しました。
◆購入することで社会的弱者の支援にもつながる
『ツナグパン』の購入時には、ブナの木製の通貨「エシカルコイン」(100円相当)をもらうことができます。そして、支援先の兵庫県内の福祉施設などには、ツナグパン購入者と同額の「エシカルコイン」(1袋につき100円相当分)を送付。「エシカルコイン」を使って、パン購入者も支援対象者もケルン全店舗で好きな商品を購入できます。