神戸連続児童殺傷事件・全記録廃棄 「元少年」審判のプロセス、検証不可能に 愛知や長崎などの少年事件でも廃棄発覚 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

神戸連続児童殺傷事件・全記録廃棄 「元少年」審判のプロセス、検証不可能に 愛知や長崎などの少年事件でも廃棄発覚 

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 1997年に起きた神戸・連続児童殺傷事件で、当時14 歳で逮捕された加害者の男性(40)の少年審判の処分決定書などすべての事件記録を神戸家裁が廃棄していた問題で、愛知と長崎、岡山で起きた4件の少年事件の記録も廃棄されていたことが21日までに判明した。
 非公開だったこれらの少年審判の審議過程を含む検証は、事実上不可能になった。

 廃棄が判明したのは
▼2000年、愛知県豊川市で当時17歳の少年が夫婦を殺傷した事件 
▼2000年、岡山県で当時17歳の男子高校生が後輩の野球部員を金属バットで殴打して負傷させ、自宅で母親を殴り殺した事件 
▼2003年、長崎市で4歳男児がビルから突き落とされた誘拐殺人事件
▼2004年、長崎県佐世保市で小学6年の女子児童が同級生の女子児童にカッターナイフで切りつけられ殺害された事件

 なお、▼2000年、福岡県で起きた当時17歳の少年による「西鉄バスジャック事件」は、佐賀家裁で永久保存とされ、▼1993年、山形県新庄市で当時13歳の男子中学生が体育館用具室でマットに巻かれた状態で死亡した「マット死事件」は山形家裁(地裁)が保管期限を延長している。

最高裁判所

 最高裁は1992年7月の通達で、一般的な少年事件の記録は、少年が26歳になるまで保存すると規定している。しかし社会的に影響が大きく、事件の重大性から史料的価値の高い事件、少年非行に関する調査研究の重要な参考資料となる事件については、26歳以降も事実上永久保存する「特別保存」を定めている。

 この通達から5年後に起きた神戸連続児童殺傷事件も、事件の重大性を鑑みれば「特別保存」の適用対象になり得たが、実際には適用されていなかった。
 さらに2019年、憲法解釈上の重要な判断が示された民事裁判の記録が大量廃棄されていたことが発覚したことから、翌2020年には最高裁判例集への掲載や、複数のメディア(主要日刊紙)で報じられたことなどを「特別保存」の条件に加えて具体化した。
 神戸連続児童殺傷事件の加害少年が26歳になったのは2008年。「特別保存」の適用ではなかったことから、廃棄はこれ以降とみられる。

神戸家庭裁判所(神戸市中央区)

 神戸家裁によると、特別保存ではない事件記録は廃棄予定の確認が済めば、家裁所長や裁判官の許可がなくても少年首席書記官の指示で廃棄できるという。

 最高裁や神戸家裁は、「当時、事件の選別について具体的な運用要綱がなく、適切ではなかった」とする一方、職員らへのヒアリングなど調査には否定的だ。神戸家裁はその理由として、「特別保存の認定は、司法行政上の裁判所として行うため、特別保存に関する運用が適切に行われる仕組みが整備されていないという庁全体の問題である。仮に当時の職員に聴取したとしても、あくまで個人の見解の範囲にとどまる」と答えた。

■「デジタル化で保存できた…しかし遺族は閲覧できない」土師守さん

 1997(平成9)年5月24日、この事件で次男・淳さん(当時11歳)を亡くした土師守さんは、特異な事件でもあり、今後の検証のためにも資料の保存は重要だとしたうえで「資料が膨大であったとしても、今の時代、デジタル化してでも保存しておくべきだったと思う。しかし遺族の立場では、(記録が保存されていたとしても)現実的には閲覧ができず、事情は変わらない」と話す。

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