清酒の生産量全国1位、“日本一の酒どころ”として知られる兵庫県の「灘五郷」。灘五郷は、日本酒の生産が盛んな5つの地区の総称で、神戸市灘区大石から西宮市今津までの沿岸部約12kmの地域に位置しています。西郷(にしごう)・御影郷・魚崎郷(以上神戸市)・西宮郷・今津郷(以上西宮市)に、26の酒蔵があります。
寒い時期の日本酒のオススメと言えば“熱燗”。今回は、酒造りなどについて知ることができる『沢の鶴資料館』(神戸市灘区大石)事務局長の伊勢貴一さんに、熱燗の楽しみ方を聞きました。
伊勢さんによると、熱燗にオススメなのは「純米酒」と「本醸造酒」とのこと。純米酒は米・米麹・水だけで造られていて、米本来の旨みやふくよかな香りが楽しめるお酒。西郷にある沢の鶴は、約300年前からこの純米酒にこだわって酒造りを続けているのだそう。一方の本醸造酒は、醸造アルコールが添加されていて、米の旨みを生かしながらも甘くなりすぎない、後味の爽快感が楽しめるお酒と言えます。
■日本酒は温度によって味わいが変わる
ひと口に熱燗と言っても、実は温度によって呼び方や味わいも異なります。ここでは、代表的な3つの温度帯を紹介します。
【30~40℃】
ほんのりとあたたかさを感じる「日向燗(ひなたかん)」や「人肌燗(ひとはだかん)」「ぬる燗」と言われる温度帯。日本酒のまったりとした味わいをより強く引きだし、甘味とコクをしっかりと感じられます。純米酒は、どっしりとした素朴さがよい味わいに。本来はすっきりとした口当たりの本醸造酒ですが、少しだけ温めることで芳醇な味わいを楽しめるそうです。
【45℃前後】
ぬる燗より少し温度の高いのが「上燗(じょうかん)」です。ふんわりとした湯気が立ちのぼり、日本酒の香りと味わいが強く感じられる温度帯。純米酒で試すのがオススメとのこと。
【50℃前後】
「とびきり燗」と呼ばれ、アルコールが強調されます。シャープな香りと辛口の日本酒が楽しめます。
■熱燗の上手な作り方
【湯煎】
1)鍋に湯を沸かし、沸騰したら火を止める。
2)お酒の入った徳利を肩口までお湯につける。
3)1合(180ミリリットル)徳利の場合、「熱燗」なら約3分、「ぬる燗」なら約2分半温める。