『空き家問題』深刻化 相続登記申請は義務 弁護士「“管理不十分は税金4倍”になる法改正の可能性も」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

『空き家問題』深刻化 相続登記申請は義務 弁護士「“管理不十分は税金4倍”になる法改正の可能性も」

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 少子高齢化や人口減少が進む日本はさまざまな問題を抱えていますが、そのひとつに「空き家問題」があります。放置された空き家が崩れて周囲に危害が及んだり、ゴミの不法投棄や放火による火災が発生したり、さまざまな問題に波及する原因ともなり、特に過疎化が進む地方部では深刻な問題となっています。兵庫県弁護士会、空き家対策委員会として、空き家対策支援活動などを行う山下慶康弁護士に話を聞きました。

――現在、「空き家」が全国的な問題となっていますが、どのような現状なのでしょうか。

【山下弁護士】 人口減少が進む日本ですが、同時に核家族化も進んでいることにより世帯数は増え続けています。しかし、新築のマンションなどが増加しているため、空き家が増えていくのは避けられないのが現状です。

 管理者のいない空き家は危険でもあるので、まだ住むことのできる空き家は新たに住めるようリノベーションが行われることもあります。一方、老朽化によりもう誰も住むことのない空き家は取り壊すか、きちんと管理するなどの方法を探っていかなければなりません。

――所有者不明により、手のつけられない空き家も多いのでしょうか。

【山下弁護士】 現状の所有者は、周りから見るだけではわかりません。所有者を確認するための唯一の手がかりとなるのは、所有者として誰の名義が登記されているかを登記簿で確認する方法です。しかし、登記をする義務はないうえ、登記するにしても登録免許税という税金がかかったり、司法書士に依頼するなど諸々のお金がかかります。そのため、放置されている空き家も多く、放置されたまま何世代も相続されると誰が所有者なのかわからなくなってしまいます。

 このように、登記する義務がないままでは所有者不明の空き家が増え続けてしまうこともあり、法律改正により令和6年4月から相続登記の申請が義務化されます。

――空き家対策委員として、どのようなお仕事をされているのですか?

【山下弁護士】 神戸市から委任を受けて、市内の放置空き家の適切な管理や、取り壊しのために空き家の相続人らに連絡して話をまとめます。補助金が出ることを伝えて取り壊してもらったり、隣地所有者に買ってもらうように話を進めて問題解決できたケースもあります。

 また、兵庫県が空き家活用特区条例を策定する際に委任を受け、法律的な監修をしました。現在も、空き家等活用特区審議員として働いています。

――取り壊しには補助金が出るとのことですが、それでも費用はかかりますよね。

【山下弁護士】 そうですね。補助金が出るのは一部費用に対してのみなので、自分や親が住んでいたというわけではないのに相続した場合、「取り壊し費用だけ払うのは納得がいかない」という人は多いです。

 さらに、更地にすると固定資産税が上がる制度になっているので、取り壊しが進まないというのも空き家問題の現状です。そのため、制度の見直しが進んでいて、建物が管理不十分な空き家の状態だと、固定資産税が4倍ほど上がるように税制を改正するという話も出ています。

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