1年の世相を漢字1文字で表す「今年の漢字」、 2022年は「戦(セン/いくさ・たたかう・おののく・そよぐ )」と発表された。
世界文化遺産・清水寺(京都市東山区)本堂前にせり出す「清水の舞台」をバックに、森清範貫主が巨大な色紙(京都府指定無形文化財・黒谷和紙)に揮毫(きごう)する姿は、師走の風物詩となって久しい。
公益財団法人・日本漢字能力検定協会(京都市東山区)が、日本全国からはがきやインターネット、投票箱で募り、最も多い漢字1文字を選ぶ。今年で28回目を迎えた。
最初の年・1995(平成7)年は阪神・淡路大震災やオウム真理教事件、金融機関の破たんなどに"震えた"「震」だった。
2022年は応募数22万3768票のうち、1万804票(応募数の4.83%)で第1位が「戦」。わずか188票差で第2位が「安」。
人々の印象や記憶をダイレクトに表す「今年の漢字」。主催する日本漢字能力検定協会代表理事・山崎信夫理事長は、もう「戦」いは今年限りにして欲しいと願う。そして2022年、選んだ漢字から見る人々の心の動きを次のように分析した。
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■「戦争」「軍事侵攻」をSNS通じ、目の当たりに
ロシアによるウクライナ軍事侵攻(2月)、安倍晋三元首相銃撃事件(7月)、3年目となる新型コロナウイルス感染拡大の影響を鑑みて、「命」を挙げる人も多かった(第6位・3512票)が、ウクライナ軍事侵攻に関しては、SNSを通じて人の命が奪われるという動画を個人レベルで発信する時代になり、その風景は何だったのかと問われると、やはり「戦」争だった。
そして戦車や(北朝鮮による)ミサイル発射のシーンを多く目にする反面、人そのものが登場するシーンが少なかったことも影響したのではないか。