棒寿司を葉っぱに包んでまるごと発酵! 和歌山県に800年前から伝わる郷土料理「なれずし」とは? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

棒寿司を葉っぱに包んでまるごと発酵!  和歌山県に800年前から伝わる郷土料理「なれずし」とは?

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 日本の食文化と強い結びつきがある「発酵食品」。味噌・醤油、納豆など日本の食卓には欠かせない存在です。ここ数年は「発酵ブーム」といわれ、発酵食品を使った料理やお店が増えており、ますます注目度がアップしています。

 数ある発酵食品のなかで、今回フォーカスしたのは「なれずし」。和歌山県の郷土料理でもあり、なんと800年以上の歴史を持つのだとか。

「なれずし」とは、大まかにいうと“シャリごと発酵させた、すっぱい棒寿司”のこと。一般的な寿司はシャリに酢を使い酸味をつけています。なれずしの場合は発酵させることで酸味を出しているのです。

和歌山に伝わるなれずしは、800年以上の歴史があるとか(提供=熊野物産)

 和歌山県・熊野の名物を販売している「熊野物産」(新宮市神倉)によると「なれは、“熟れ”や“馴れ”と書き『発酵した』という意味」とのこと。

「保存技術が発達していない時代に、保存食として広まったとされています。昔は各家庭で作る料理でしたが、現在では一部の家庭や地元のスーパー、当店のような物産店などで販売されています」(熊野物産)

なれずしをはじめとし、魚の干物など特産品が販売されている熊野物産・神倉本店(提供=熊野物産)

 ビジュアル的には「鯖寿司」や「柿の葉寿司」とも似ているように感じますが、関係はあるのでしょうか。

「一般的に知られる鯖寿司や柿の葉寿司は発酵させません。昔は柿の葉寿司も酢を使わず発酵させていたそうですが、現在ではほとんどが酢飯で作ります。ただ、鯖寿司の中には発酵させたものもあり、それを『はや寿司』と呼ぶ地方もあるようです」(熊野物産)

 また、なれずしは和歌山県だけでなく他府県にも存在しており、福井県では「へしこ」、滋賀県では「オイカワ」や「ハス」など地域でネタはさまざま。

「和歌山県内でも有田地方や日高地方ではサバ、熊野地方ではサンマを使ったなれずしが主流で、エリアによってネタは異なります。そのため当店ではサバのほか、熊野で獲れるサンマやアユを使っています。また、寿司を包む葉も地域によって特色がありますね」(熊野物産)

有田地方などでよく食べられているサバのなれずし(提供=熊野物産)

☆☆☆☆

「発酵」によって生まれるなれずしは、独特の酸味や香りを苦手とする人が少なくないいっぽう、クセが強いゆえいちどハマると虜になってしまうという声も。興味がある人は和歌山県はもちろん日本各地の発酵食品に目を向けてみては?

(取材・文=つちだ四郎)

◆熊野物産
〒647-0044 和歌山県新宮市神倉2-8-11
電話番号 0735-22-0174
開館時間 9:00~18:00
定休日 水曜日
熊野物産 公式サイト

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