地震の揺れは、津波・崖崩れなどの被害をもたらす。阪神・淡路大震災や東日本大震災クラスの大規模地震になると、“揺れ”が原因による建物の倒壊や津波だけではなく、「液状化現象」による「不等沈下」が起こり、家屋が傾き、人々の生活に大きな影響を与えた。
「不等沈下」とは、砂層の 軟弱な地盤の上に建物を建てたとき、建物の重みで地中の水分が外に逃げ、水分が失われた体積の分だけ地盤が沈下し、建物が傾く現象。これらは大地震が起きると必ず耳にする言葉だが、時間の経過とともに、その意識が薄らいでいくのが実情かも知れない。
日本地震学会会員で、はりま地盤・地震研究会代表の西影裕一さん(兵庫県姫路市在住)は、地質学、地震学の研究を続けている。西影さんに「液状化現象」による被害を減らすにはどうすれば良いのかを聞いた。
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1964(昭和39)年の新潟地震で、新潟市内の4階建ての住宅が倒壊した。これは液状化現象により地盤が不等沈下を起したためであった。この地震で液状化現象が注目され、研究も進んだ。
国土交通省のまとめでも、阪神・淡路大震災による液状化現象として、神戸市のポートアイランドをはじめ、芦屋市、西宮市の埋立地で多くの被害が報告されている。これらの埋立地で液状化した土の大部分は「真砂土(まさど)」といわれる六甲山地の山砂であった。埋立地の護岸に近い地区では液状化により「側方流動」が発生し、護岸が海側に最大5m以上も前傾・移動するなどして、神戸港に壊滅的な被害をもたらした。
また、武庫川下流のデルタ地帯では、江戸時代に築造された埋立地で液状化が発生し、家屋がめり込むなどの被害が起きた。
液状化現象は水をたくさん含んだ砂層が地震動で揺らされることによって水や砂が噴射し、地盤が不等に沈む現象であり、それに伴って道路はドロドロになり、地盤が建物に対する支持力を失い建物が傾く。
東日本大震災では、東京都内で震度5強の強い揺れが発生、江東区の埋立地・新木場ではマンホールと下水管が浮いた。これは地中の下水管の中がほとんどが空気のため、軽くなったことが原因だった。
では、水をたくさん含んだ地盤はどこにあるのだろうか。地表から見つけることは可能なのか。これを理解しておくと、家屋を建てる際、どういう土地が最適なのかがわかる。