姫路城が鎮座する兵庫県・姫路市には独自の進化を遂げたグルメが数々存在します。関東煮(関西におけるおでん。関東炊きとも)を生姜じょうゆにつけて食べる「姫路おでん」、ソースを塗ったたこ焼きをだし汁にくぐらせて味わう「明石焼き風たこ焼き」……そして今回のテーマ、「ちゃんぽん焼き」もそんな当地グルメのひとつなのです。
食べもので“ちゃんぽん”といえば、パッと思うのは「長崎ちゃんぽん」を代表とする野菜や魚介がどっさり入った汁ありの麺料理。しかし姫路のちゃんぽん焼きはまったくの別物です。
地元では“あたり前”のグルメ・ちゃんぽん焼きについて『姫路食文化協会』(所在地:姫路市呉服町)に詳しく教えてもらいました。
「姫路において、ちゃんぽん焼きはかなりポピュラーな食べ物です。最大の特徴は『焼きそば』と『焼きうどん』のハーフ&ハーフということ。ソースで味付けされることが多いですね」(姫路食文化協会)
「ちゃんぽん」とは、何かがごちゃ混ぜになったものやミックスされた状態を表す言葉。つまり、焼きそばと焼きうどんを合わせていることから「ちゃんぽん焼き」と名付けられたと推測されます。参考までに、長崎ちゃんぽんなど汁そばの「ちゃんぽん」は、(1)中国語で“簡単なご飯”を意味する「喰飯(シャンポン)」がなまったという、(2)ポルトガル語で“混ぜる・混合する”という意味の「チャンポン」が由来などと言われています。
「ちゃんぽん焼きは、市内にあるお好み焼き店では“焼き”を省略し“ちゃんぽん”とメニューに書かれていることが多いですね。スーパーなどで『ちゃんぽん焼きセット』が販売されていたり学校給食で出てくることはありませんが、飲食店メニューや家庭料理として定着している印象です」(姫路食文化協会)
協会いわく、焼きそばと焼きうどんのミックスという大前提をのぞけば味付けや具材は多種多様とのこと。ちょっと辛めのソースを使うレシピもあれば、トッピングに天かすや紅しょうがを散らしたりなど店や家庭でテイストは変わるようです。それにしても、なぜ姫路という地でちゃんぽん焼きは生まれたのでしょうか?
「理由ははっきりしていませんが、播磨地方ではしょうゆ・酒・昆布など“味”に関する企業が多いため、より工夫した食べ方を追求していく気質があります。食への探求心の高さが関係しているのかもしれません。そのため、焼きそばにうどんを入れると一度で二度おいしいということで生まれたのではないでしょうか。この精神は『明石焼き風たこ焼き』の定着や、『姫路おでん』が家庭料理になっていることにも通じていると思われます」(姫路食文化協会)
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「ちゃんぽん焼き」は、スーパーなどで簡単に手に入る食材で作ることができます。気になった人はトライしてみてはいかがでしょうか?
(取材・文=つちだ四郎)
◆姫路食文化協会
電話番号 079-224-8803
姫路食文化協会 公式サイト