「象がふんでもこわれない」のCMでお馴染みのサンスター文具株式会社。1940年に創業した同社は、これまでに子どもたちを魅了する数多くの文房具を開発してきました。特に、象がふんでもこわれない「アーム筆入」や水に溶ける紙で話題を集めた「スパイ手帳」シリーズは、同社の代表的な商品として、“遊べる文房具”という新たな価値観を見出しました。文房具の概念を変えた商品の開発秘話について、広報担当の小須田さんに聞きました。
――サンスター文具を代表する「アーム筆入」発売のきっかけは?
【小須田さん】 当時の開発者がテレビで、カミナリ族(現在の暴走族の前身)が信号に向かって石を投げている姿を見たことがきっかけです。「カミナリ族が石を当てても壊れない信号機は、一体何の素材で作られているんだろう」という思いから調べたところ、ポリカーボネート製ということがわかりました。この素材は衝撃はもちろん、熱にも強く、子どもたちのための文房具に使用しても安全だろう、ということで使われ始めたそうです。
――販売が開始されたのはいつでしょうか?
【小須田さん】 1965年から販売されました。発売直後は当時の筆箱の相場と比べて3倍ほど高かったそうで、あまり売れなかったといいます。しかし、1967年に始まったテレビCMをきっかけに人気に火がついたそうです。
――CMにも使われているキャッチコピー「象がふんでもこわれない」が誕生した経緯は?
【小須田さん】 当時、強さをアピールするためにインパクトのある演出を、と考えました。その結果、強くて大きい象に踏ませることでお子様からの人気が出るのではないか、ということで演出が決まりました。アーム筆入は、特に男の子からの人気がとても高く、強度を試すためにガンガンぶつけて遊んでいる子も多かったようです(笑)。
――文房具が遊び道具になることで、教育現場からクレームは起こらなかったのでしょうか?