バレンタインデーが近づき、街中でさまざまなチョコレートが販売されている。カカオ豆を生で仕入れて板チョコを作る“ビーントゥバー”の店も増えており、神戸市垂水区にある『シオヤチョコレート』もそのひとつ。店長の福岡知宏さんに話を聞いた。
もともとサラリーマンをしていた福岡さん。当時はチョコレートに対してとくべつ興味はなかったそうだが、カカオ豆と砂糖だけでチョコレートができるということを知り、その奥深さにどんどんのめり込んでいった。そして2019年10月、「シオヤチョコレート」をオープン。塩屋の街を選んだのは安い物件を探しているとき、「塩屋に改装中の家があるからどう?」と声をかけられたのがきっかけだという。
もっとたくさんの人に塩屋の街を知ってほしいとの思いから、福岡さんは店名に地名をそのまま使った。店内には喫茶スペースもあり、塩屋散歩の休憩スポットとして常連・新規問わず客が訪れる。
「当店のチョコレートが、塩屋みやげの定番になってほしいです。また、もらった人が塩屋を知らなくても『塩屋ってどんなところだろう』と思ってもらえたらいいですね」(福岡さん)
チョコレートの原料となるカカオ豆は、さまざまな国から輸入している。昔と違い、今では日本人が産地国に出向き現地の人々とカカオ豆を作るのが主流になってきている。「現地の人と協同し楽しみながら生産している日本人たちが世界各地にいます。そんな彼らのカカオ豆なら、安心して使える」と福岡さん。豆を焙煎して皮をむき、石臼で24時間以上挽き続けてからチョコレートを作っていく。時間をかけることで食感や風味がおもしろいほど変わっていくそうだ。
同店のチョコレートのカカオ含有量は70%ほど。カカオはフルーツであり、カカオ豆は果実の種なので苦味よりも酸味があるのだそう。福岡さんはまず豆を生のまま食べてイメージを作り上げ、チョコレートを作っていくという。たとえば「サチャ」というエクアドル産のカカオ豆は、マイルドな甘みを持つ。ミルクを使わずに甘いミルクチョコレートのようなものが作れないかと探し求めて見つけたのが、このサチャだという。
「当店のサチャのチョコレートは乳製品が入っていないので、アレルギーがある人にも食べていただけます」(福岡さん)
客には「どのように」とか「どんな時に」など“チョコレートの食べ方”をよく聞かれるそうだが、福岡さんは「食べたいときに、好きなように食べてください」と案内している。例えばアルコールやコーヒーなど飲料と合わせるもよし、料理に合わせるもよし……とにかく自由にチョコレートを楽しんでほしいのだという。
今後のビジョンついて聞くと、「チョコレートのお酒を作りたいという声や、お菓子を作るために僕のチョコを使いたいという声をかけていただいています。そうした人たちと新しいものを作っていきたい」と福岡さん。続けて、「色々な思いを持った人と一緒に仕事をするのは刺激になる」と笑顔を見せた。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2023年1月24日放送回より
◆シオヤチョコレート
公式ホームページ