コロナ禍による“おうち時間”の増加にともない「DIY」する人がどんどん増えている。部屋を自分好みにアレンジ&リフォームするDIYの手法はさまざまあるが、キッチンやリビングなどをリーズナブルかつ手っ取り早くイメージチェンジできるということで「塗装」に着目する人も。
塗料ディーラーであり、国内でも珍しい「塗料にまつわるショールーム」を持つ『株式会社モリエン』(神戸市兵庫区)の代表取締役・森一朗さんに話を聞いた。
大正8年創業の同社は建築用塗料卸売、塗装工事を手がける会社。国内塗料も多く取り扱っているが、インテリアのペイントに関してはヨーロッパが最先端だという。カラーのバリエーションが豊富で微妙なトーンも出しやすいそうだ。中でも、森さんがおすすめするのはイギリスのメーカー『ファロー&ボール』。
「色のチョイスがよくて、組み合わせで非常にいい印象が出せます。日本家屋にも合いますし、海外のホテルのような仕上がりにもできる。すごく使いやすい色が揃っています」(森さん)
イタリアのメーカー『バルペイント』は塗装とは思えないほどの完成度に仕上がるのが特徴。壁に多彩な表情を生み出すとのこと。
「立体的なペイントでコンクリート風や砂壁調、メタリックの塗装など凝ったものが多い。重厚感を持たせたり、デザイン性の高い壁を目指す場合に使われています」(森さん)
家庭のリビングはもちろんホテルのエントランス、商業施設など壁面仕上げの最近の傾向としては、壁紙ではなく塗料を用いることが増えてきているという。「印刷したビニールのもの(壁紙)を貼るのと比べ、職人がきちんと塗って仕上げた壁はやはり高級感がある」と森さん。塗装は壁紙と違い“張り替え”の必要がないため廃材が出ない。こうした「エコ」な特性がSDGsの観点ともマッチし、塗料が選ばれる理由となっているようだ。
“塗料を塗る”という作業を行うのは職人だけではない。一般の人、いわゆる「素人(しろうと)」が塗ることもあるだろう。そのためショールーム内には「練習用」の壁があり、実際に塗料を塗ってみることができる。カラー提案する資格を保有するスタッフが常駐しており、その場で相談にのってもらえるのも嬉しい。
同社の人気商品として「蜜ろうワックス」というものがある。これは森さんの父親が、孫の木製玩具に使用するために天然原料である「蜜ろう」と「えごま油」(いずれも国産)のみで作ったワックスだ。こまめに塗り重ねていくことで耐久性が増し、いつまでもきれいな状態をキープできるという。玩具以外にも床の間や床柱、家具などの室内木製品に使用可能。また、平らな下地に塗った部分が黒板になる「チョークリン」という商品や、マグネットがくっつくようになる塗料なども販売。外壁用に遮熱や断熱効果のあるものなど、ニーズに合わせてさまざまな用途の塗料を取り揃えている。