シンガーソングライターの川嶋あいがパーソナリティを務めるラジオ番組『明日への扉〜いのちのラジオ+〜』(ラジオ関西、毎月第1・2週日曜午後5時〜)。3月12日の放送では、NPO法人チャイボラで代表理事を務める⼤⼭遥さんがゲスト出演。NPO法人発足までの経緯や、取り組みについて語りました。
大学卒業後、教育教材を扱う株式会社ベネッセコーポレーションに入社。あるとき、教材を寄付できないかと児童養護施設に問い合わせたところ、施設が抱える深刻な職員不足を目の当たりにした大山さん。そのことをきっかけに、自身も児童養護の仕事に貢献したいと同社を退社したそう。その後、保育士の資格取得のために夜間専門学校に入学し、2018年にクラスメイトとともに施設と働き手を繋ぐ「NPO法人チャイボラ」を創設しました。
父親が学習塾を経営していたという大山さん。そこで小学1年生の時点で学びに対する意欲に個人差があることや、家庭環境・教育が人生においていかに重要であるかを知り「何か力になれることはないか」と、家庭教育教材を扱うベネッセコーポレーションに入社したといいます。
同社で働き始めてから8年が経ったころ、教材を寄付できないかと児童養護施設に連絡をしたところ、施設は深刻な職員不足を抱えていることを知ったそう。人手不足もあり、教材が届いたとしても使える状況にないという現状を聞かされた大山さんは、「自分はいかに限られた環境の家庭を見ていたのだろう」と衝撃を受けたと明かしました。このことをきっかけに「まずは自分が職員になろう」と思い、なんと1週間後には辞表を出したそう。
先日、チャイボラが主催するオンラインイベントに参加した川嶋。「施設の職員不足や精神面での充実を乗り越えていくためにはどうしたらいいのか、と深く考えさせられる時間となりました」とイベントを通しての感想をしみじみと語りました。
川嶋が「創設から5年が経った今感じること、現在の課題は?」と尋ねると、シフト制勤務であること、常に誰かは働いていないといけない環境であることから、職員同士での時間を設けることの難しさを実感しているという大山さん。さらに、宿泊を伴う勤務体制“宿直勤務”が週に数回発生することにも触れ、「生活リズムをキープするのは大変」とコメント。さらに、最も大きな苦労についてはこのように語りました。
「子どもと関わるうえで、自分が今まで生きてきたなかで聞いたこと・言われたことがないような言葉を投げかけられることもありますし、時には手を出されることもあります。それは、子どもたちがうまく表現できなかった感情であったり、さみしさや悲しさ・悔しさによるもの。ただ、その背景をわかっていたとしても、私たち職員も人間なので傷つきますね。これらは、企業ではなかなかない感情を大きく動かされる部分ではありますね」(大山さん)
一方、施設で働くことの喜びについては「笑うことが多い」と大山さん。保育園や小学校とは異なり、施設では2〜18歳など長期間にわたって生活をともにするという特徴から「ものすごい成長が見られる」という点を挙げ、「この仕事をしていたよかったなと思うし、子どもたちと一緒に思い出を振り返れたときには、この仕事でしか味わえない感情を覚える」と付け加えました。