各地から桜の便りが届くようになった3月26日。壬生寺(京都市中京区)境内で開催されたイベント「壬生菜まつり2023」に、昔懐かしい「ポン菓子」の実演が登場した。
出来上がるたび響く大きな音に、集まった客らからの歓声があがり、まつりに彩りを添えていた。そこにあったのは、伝統を次の世代へ引き継ぎたい思いだった。
ポン菓子の実演を行ったのは株式会社吉寿屋(大阪府摂津市、以下 よしや)。菓子卸・流通商社として1964(昭和39)年に大阪市北区で創業。日本初となる「お菓子のフランチャイズ店舗」を考案したことでも知られる。
この日は、新選組ゆかりの寺として、また子どもの守り本尊である地蔵菩薩の信仰でも有名な壬生寺(991年創建)で、3月27日の「みぶなの日」にちなみ、同寺から京都の食文化を発信するとのコンセプトのもと、食のイベントが開催された。
あいにくの雨模様だったものの、詰めかけた客が境内に展開されたブーステントやキッチンカーに行列を作っていた。
よしやの神吉一寿社長は、「(少子化により)お菓子を食べる子どもが減った。また、後継者不足などによる“まちの駄菓子屋”の廃業が続く」とした上で、「お寺にお供えするお菓子類も、昔ながらの落雁や白雪羹(はくせんこう)が、ポテトチップスやチョコに変わるなど様変わりしている。日本に昔から伝わる白雪羹やポン菓子・かりんとう・金平糖なども、10年後にはなくなってしまっている可能性があると菓子製造メーカーは危機感を募らせている」とし、そういった状況の中で「ポン菓子の音と香りと味を楽しんでもらいたかった」と、今イベントに参加した理由を語った。