兵庫県では、「ひょうごフィールドパビリオン」の一環として、“生きた運河”である尼崎運河のクルーズツアーを実施します。通称・尼ロックと呼ばれる「尼崎閘門(こうもん)」の見学や、手ぶらで参加できる魚釣り&バーベキュー体験、などを用意。今年7月の「兵庫ディスティネーションキャンペーン」開始に併せて実施する予定です。
「ひょうごフィールドパビリオン」とは、歴史や風土が異なる兵庫県の五国(摂津・播磨・但馬・丹波・淡路)で、地域を豊かにしようと取り組む人たちが主体となって“活動の現場そのもの(フィールド)”を発信、訪れた人たちに、その地域ならではの体験を提供する取り組みです。2025年の大阪・関西万博の開催に合わせて展開します。
各地域での取り組みには、世界が持続可能な発展を遂げていくためのヒントが秘められています。現時点で、ひょうごフィールドパビリオンの体験型プログラムに認定されている企業・団体は113件。中でも、各地域の風土・文化をより強く出していることや事業の持続可能性(SDGs)の観点から、地域の核となると考えられる5件が「プレミア・プログラム」に選定されました。
そのうちのひとつが「尼崎運河クルーズツアー」です。
尼崎運河とは、尼崎市にある5つの運河(北堀、南堀、西堀、東堀、中掘)の総称。全長6.9キロメートルで、明治後半からの臨海部の工業化に伴い、材料や製品の運搬のために、昭和初期に整備されました。全国の運河が当初の役割を終え観光地化されている中で、尼崎運河は今でも貨物船が行き来する貴重な“生きた運河”なのです。
尼崎市は、運河に支えられながら全国有数の工業都市へと発展した一方、工場の地下水のくみ上げによる地盤沈下や公害問題も発生しました。しかし、環境への関心が高まる中、市や企業の努力によって、海洋生物資源に恵まれた豊かな海域を有する地域へと変化を遂げました。
プログラムを実施する一般社団法人あまがさき観光局の担当者は、「かつての姿から復活した尼崎の海のきれいさを実感していただき、自然の大切さや豊かさと、それを守っていくという認識を持ってほしい」と呼びかけます。