2025年の大阪・関西万博の開催に合わせて兵庫県で開催する「ひょうごフィールドパビリオン」。体験型地域プログラムのひとつとして、300年以上続く醤油蔵や麹蔵が残るたつの市龍野町で、伝統産業の醸造文化を体験するツアーを実施します。
兵庫県は、千葉、香川とともに全国三大醤油生産地のひとつ。なかでも龍野は、淡口(うすくち)醤油発祥の地として知られています。淡口醤油のはじまりは江戸時代。龍野に流れる揖保川の水質が醤油作りに適し、良質の大豆や小麦、赤穂の塩を手に入れやすいことから、その生産が盛んに行われるようになりました。
■醤油の原料
一般的な濃口醤油の原料は小麦、大豆、塩。淡口醤油は、そこに米(甘酒)を加えて作ります。また、仕込み水には揖保川の伏流水(軟水)を使用。素材の味と色と香りを活かす醤油として多くの料理人から支持されている、和食にはなくてはならない調味料です。
■塩分が高いだけじゃない! 淡口醤油の魅力
プログラムを実施する発酵LabCoo(ラボクー)の松下美幸さんは、「淡口醤油は塩からいだけの醤油という印象を持つ方が多いが、塩分が高いのには理由がある」と話します。少量でしっかりと味付けができ、素材の味や香りだけでなく色が生かせるのも特長のひとつだそう。
一方の濃口醤油は、臭みを消す効果があるため、お刺身には欠かせない存在。照りをつける効果もあるので、照り焼きを作る際にも重要です。醤油ごとに使い道が決まっているため、理解して使い分ければ料理の腕も上がりそうです。
■醤油の保存方法
発酵インストラクター、栄養士の資格を持つ松下さんから、醤油の保存についてのアドバイスも。醤油はあたたかい場所に置くと色が濃くなるため、冷暗所で保管することが推奨されています。なかでも、おすすめの保管場所は冷蔵庫。また、醤油は塩分濃度が高いため氷点下でも凍らないことから、松下さんは淡口醤油を冷凍庫で保存しているそう。酸化を遅らせ、おいしく醤油を使い切ることができるのだとか。
■ツアー限定の蔵見学や発酵体験も!
今回のツアーでは、「うすくち龍野醤油資料館」や末廣醤油(1879年創業)、井戸糀(いどこうじ)店(1926年創業)の蔵見学を予定しています。通常は蔵見学をおこなっていないため、今回のツアーでしか体験できません。