6月4日(日)から10日(土)の1週間は「歯と口の健康週間」。「手に入れよう 長生きチケット 歯みがきで」という2023(令和5)年度の標語のもと、各地で歯と口の健康に関する正しい知識の普及・啓発活動を実施。そのなかで、神戸市も、かかりつけ歯科医による定期的な検診を受けることや、むし歯・歯周病・オーラルフレイル(歯や口の機能低下)予防の呼びかけを行っている。
今年4月、第3次の「こうべ歯と口の健康づくりプラン」を策定した、神戸市。そのなかでは、(1)「生涯、自分の口でおいしく食べる」=80歳で自分の歯を20本以上残す「8020(はちまるにいまる)」の達成やオーラルフレイルの予防、(2)「口の健康から全身の健康づくり」=さまざまな全身の健康に影響する歯周病の予防、(3)「健康格差の縮小」=誰もが生涯にわたって歯と口の健康を守ることができるような社会環境の整備や支援を目指す、といった3つの目標を立てて市民の歯と口の健康づくりを進めている。
神戸市は、「歯と口の健康週間」に合わせて、40歳以上の人に向けた「歯周病検診の個別案内」の送付や、身近な地域の歯科医院で口の機能検査が受けられる「65歳オーラルフレイルチェック」を行っている。地域の歯科医院でのオーラルフレイルチェックは2021年度から開始したもので、これは政令市で初のことだという。今年度からは「後期高齢者75歳歯科健診・オーラルフレイルチェック」にも取り組んでいる。
また、市内の図書館5か所では、歯科口腔保健関連図書の展示・貸出を行うとともに、歯科口腔保健パンフレットやちらしなどを配布。さらに、神戸・三宮の「さんちか花時計ギャラリー」ではパネルを展示して、市民への啓発、周知に努めている。
神戸市保健所口腔保健支援センターのセンター長で、歯科医師の渡辺雅子さんは「歯の病気は予防できます。かかりつけの医者をもって定期的に受診して口の健康を保ち、いつまでも自分の口でおいしく食べて健康に長生きしましょう」と呼びかけていた。
※ラジオ関西『サンデー神戸』2023年6月4日放送回より
◆歯周病ってどんな病気?
歯の病気としてよく耳にする「歯周病」は歯周病菌による感染症で、歯を支える骨が溶ける病気。全身の健康に影響する生活習慣病とされ、発症により分泌される炎症性物質によって、糖尿病、動脈硬化、アルツハイマー型認知症などが悪化しやすくなるといわれている。
歯や口の健康についての関心が高くないことが発症原因のひとつとされており、小学校低学年から大人まで、患者数は加齢とともに増加傾向にある。30代後半には、全体の約4割弱の人が進行した歯周病にかかっているともいわれている。歯周病は自覚症状がほとんどないため自身で気づくことは難しいが、日頃のセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアにより予防が可能だ。
◆歯や口のはたらき
口腔機能は「食べる」「飲みこむ」だけでなく、「会話をする」などの基本的な社会生活を営むための大切な機能とされる。しかし、口腔機能は加齢や病気によって低下する可能性があり、低栄養や要介護につながることも。この口腔機能の低下を「オーラルフレイル」と呼ぶ。
◆オーラルフレイルとは?
以下のような口腔機能が低下した状態を指し、症状がみられてから4年後にはオーラルフレイルのない人と比べて、心身の活力低下、要介護状態になる可能性が2.4倍にもなるという。
・口がかわく
・滑舌が悪い
・わずかにむせる
・食べこぼす
・飲みこみにくい
・かめない食品が増えた
◆歯や口の健康には、かかりつけ医と定期的な受診が重要
歯周病検診を受診した40歳・50歳のうち、かかりつけ歯科医をもち、過去1年間に歯科検診を受けた人の割合は34.6パーセントと非常に少ない(2021年度)。まずはかかりつけ歯科医をもち、さらに定期的に検診を受けることが重要だ。
◆むし歯、歯周病の効果的な予防方法
(1)フッ化物を利用する:歯みがきだけでむし歯を防ぐことは難しいため、フッ化物洗口やフッ化物塗布、フッ化物配合歯みがき剤の利用を。
(2)歯垢をとる(プラークコントロール):歯周病予防には、歯みがきが重要。歯垢(デンタルプラーク)は細菌の集合体で、むし歯や歯周病の原因となる。デンタルフロスや歯間ブラシなどの歯間清掃用具を使用し、歯垢の除去を。
ほかにも、「ゆっくりよくかんで食べる(ひと口で30回程度)」「たばこを吸わない」なども予防につながる。セルフケアとプロフェッショナルケアが重要だ。
【神戸市:歯と口の健康週間(6月4日~10日)が始まります!「手に入れよう 長生きチケット 歯みがきで」】
【神戸市:「こうべ歯と口の健康づくりプラン(第3次)」を策定しました】
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