6月は環境月間。廃棄物による海洋汚染や生態系への影響が深刻化する中、限られた資源を有効活用するためのさまざまな施策が各地で試みられている。中でも、神戸市が手掛ける、プラスチックの使用済み製品を再び同じ製品に戻す「水平リサイクル」は、循環型社会を実現するための大きな一歩として、全国的にも注目されている。
別な製品への再生をくり返した後、最終的にごみとして処分される一般的なリサイクルと異なり、水平リサイクルは、いったん素材まで戻したものを再び原料とするため、新たな資源の消費を抑えられるメリットがある。
神戸市は2021年秋から、洗剤やシャンプーなどの日用品の使用済み詰め替えパックを分別回収、水平リサイクルを目指すプロジェクト「神戸プラスチックネクスト~みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル~」をスタート。同市と小売、日用品メーカー、リサイクラー(再資源化事業者)など18社が協力し、専用の回収ボックスを市内の小売店75カ所、3施設に設置、1年あまりで詰め替えパック約1.5トン(2022年12月時点)を収集した。
同プロジェクトの現状や課題について、参加する小売4社の担当者に座談会形式でお話を聞いた。
【座談会の参加者:「ウエルシア薬局」総務部、朝比奈恵美さん/「生活協同組合コープこうべ」SDGs推進部、松井清武さん/「光洋」総務部環境社会貢献課、林麗子さん/「ダイエー」人事総務本部総務部、中山大輔さん】以下、発言部分は敬称略。
―詰め替えパックの回収状況は。
[ウエルシア薬局・朝比奈]うちは店舗の規模が小さいため、置いている回収箱が詰め替えパックのみとなっており、回収スポット自体の認知が上がらないのが悩みです。一方で、関東で行っている、メーカーとコラボした回収は、少しずつ量が増えてきている。さらに増やそうと、販促物を工夫したり、店舗の毎月の回収日を呼び掛けるなど努めています。
[コープこうべ・松井」現在、32店舗で回収しており、回収量は順調に増えてきている。詰め替えパックの回収箱は、さまざまな資源回収の一つとして設置した。増えてはきているが、爆発的に認知度が上がってきているわけではないですね。
[光洋・林]当社の神戸市内の店は小さく、食料品スーパーではあるが、回収箱をなかなか置けません。置いても、スペース確保が難しいのか、いつの間にか少し移動していることもある。反省点としては、これまで、回収した詰め替えパックの数量をお客に報告できていなかったこと。従業員から「フィードバックが必要なのでは」と指摘を受けた。それと、商品を置いているところに、使用済みの詰め替えパックを集めているという掲示をしていなかった。今後、改善したいです。