今年はニュースなどで話題の「スーパーエルニーニョ」が起こる可能性があるのだそう。「エルニーニョ現象」という言葉は地球温暖化への関心が高まるなかで耳にすることがありますが、具体的にどういう現象なのかといわれると説明が難しいもの。「エルニーニョ現象」や「スーパーエルニーニョ」とは、そしてそれらが日本にもたらす影響について、日本気象協会の筒井幸雄さんに話を聞きました。
―――そもそも「エルニーニョ現象」とは?
【筒井さん】 気象庁では、南米ペルー沖における5か月間の平均海面水温が、平年と比べて0.5℃以上高い状態が6か月以上続く状態のことを「エルニーニョ現象」と定義しています。逆に、海面水温が低い状態を「ラニーニャ現象」といいます。
赤道域では東向きの風、いわゆる「貿易風」が吹いており、それが弱いと海面の暖かい水が西側に流れにくくなりエルニーニョ現象が起こります。一方のラニーニャ現象では、まったく逆のことが起こります。貿易風が強くなったり弱くなったりする理由については、未だ解明されていません。
―――「スーパーエルニーニョ」とは?
【筒井さん】 気象庁では「スーパーエルニーニョ」という言葉は使用していません。したがって正確に定義されているわけではありませんが、恐らく平年との比較数値が3℃以上になっている状態のことを指すのではないでしょうか。
―――エルニーニョ現象のプラス0.5℃と比較すると6倍。この数値は確かにすごいですね。
【筒井さん】 気象庁の統計によりますと、海面水温が3℃以上の状態が続いたことはこれまでに3回確認されています。1997年春から1998年夏が最も高い3.6℃、1982年春から1983年秋の3.2℃、そして2014年春から2016年春にかけての3.1℃です。
過去の記録と同様に、今年の夏は3℃以上になる可能性が高いと考えられています。その理由は「地球温暖化」です。地球全体が暖かいことで海にも熱が蓄えられた結果、海の温度自体が高くなっている。そこにエルニーニョ現象が起こることで、さらに海面水温が高くなるのです。