神戸・5人殺傷事件 控訴審 男性に検察側「心神耗弱」、弁護側「心神喪失」主張し結審 大阪高裁 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

神戸・5人殺傷事件 控訴審 男性に検察側「心神耗弱」、弁護側「心神喪失」主張し結審 大阪高裁

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 神戸市北区で2017年7月、祖父母や近隣住民ら5人を殺傷したとして殺人や殺人未遂などの罪に問われ、一審・神戸地裁で無罪とされた無職の男性(32)の控訴審第2回公判が3日、大阪高裁で開かれた。
 5月の控訴審初公判に続いて、この日も男性は出廷しなかった。検察側は「善悪を判断する能力は低下していたが、限定的に残されており、『心神耗弱状態』にとどまる」と主張。一方、弁護側は控訴棄却を求めて結審した。判決は9月25日。

大阪高裁

 男性は2017年7月16日、同居する祖父母(いずれも当時・83)や、近くに住む女性(当時79)を包丁で刺すなどして殺害、母親(58)や近所の別の女性(71)にも負傷させたとして起訴された。
 一審・神戸地裁判決(2021年11月4日)は、男性が精神疾患(統合失調症)により善悪を全く判断できない『心神喪失状態』だった疑いがあると判断した。

 検察側は一審で、男性が専門学校に通学していた際、同級生の女性のものとみられるインターネットへの投稿を解析し、自分へ好意を寄せたメッセージと受け止め「自分と、この女性以外は人間ではなく、これらを倒さなければ、女性と結婚できない」という妄想を抱いて犯行を決意したと指摘。
 控訴審でも一審・無罪判決の事実認定に「重大な誤りがある」と反論。「善悪の判断が著しく低下していたが、一定程度残っている『心神耗弱状態』だった」と主張している。
 この日の弁論でも、男性の言動に正常な精神構造が機能しており、その根拠として、犯行中、苦しむ母(重傷)に対して「楽にしたるわな」との発言、逮捕後に話した犯行に対するためらいの気持ちや、「人ってなかなか死なないですね」という供述などから「違法性の認識が一定程度あり、事理弁識能力(自分の行為の結果について、合理的に判断する能力)や行動制御能力があった」と述べた。

 弁護側は、「犯行時の男性は、完全に妄想に支配されていた」と反論し、一審判決の精神疾患の評価(心神喪失)は適正とし、改めて無罪を主張。「責任能力はなく、心神喪失である」として検察側の控訴棄却を求めた。

■「5人殺傷で無罪はむごい」「静かに反省を」遺族、負傷者語る

 死亡した女性(当時79)の長男は、法廷で「事件から6年、もうすぐ母親の7回忌を迎える。まさか、これほど(刑事裁判が)長くなるとは思わなかった。なぜ、母親は殺されなければならなかったのか。妄想に支配されていたことが、凶悪犯罪の免罪符になってはいけない。5人殺傷で無罪はむごい。極刑を望む」と述べた。
 また、負傷した女性(71)は代理人弁護士の代読で「(被告の男性が、無罪を言い渡された)その日のうちに釈放され、どこに行ったのか、全く情報が入ってこなかった。自宅に戻ってくることは絶対にないといえるのだろうか、不安と恐怖が襲ってきた。被告には刑務所で静かに反省し、5人死傷という揺るぎない結果に向き合ってもらいたい」と訴えた。

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