兵庫県明石市で「市民夏まつり・花火大会」の見物客11人が死亡、247人が重軽傷を負ったJR朝霧駅の歩道橋事故から22年となった7月21日夜、遺族らが現場を訪れて犠牲者を追悼した。
事故現場となった歩道橋に設けられた慰霊碑「想(おもい)の像」の前に遺族らが花を手向け、黙とうした。
当時2歳だった次男・智仁ちゃんを亡くした神戸市垂水区の下村誠治さんは「毎年この日は、事故当日の壮絶な光景に引き戻される。いつも思うのは、息子・智仁への申し訳ないという気持ち。生きていれば8月に25歳になる。でも、思い出すのはあの時の姿」と話した。
2022年10月、韓国・ソウルの繁華街近くにある梨泰院(イテウォン)で起きた雑踏事故(158人死亡)の遺族との交流も続く。下村さんは「私たちは明石から“伝える、発信する”ことが必要。それが風化を防ぐことになるのだから」と気を引き締めた。
丸谷聡子・明石市長は、今年5月の就任以来初めて、歩道橋事故の追悼の日を迎えた。市幹部とともに献花した。
丸谷市長は22年前のこの日、幼い娘を連れて一市民として大蔵海岸の花火大会へ出掛ける予定だったが、所用で行けなかった。事故直後の報道に触れ、自身の娘と同じ世代の子どもが犠牲になったことに、いたたまれない気持ちになったという。「この(歩道橋)事故と、大蔵海岸砂浜陥没事故(2001年12月30日発生)という2つの大きな事故を経て、安全という意識が根付くよう取り組みたい」と誓った。