兵庫陶芸美術館(兵庫県丹波篠山市)では8月27日(日)まで、特別展「デミタスカップの愉しみ」が開かれている。分かりやすい解説で好評のシリーズ「リモート・ミュージアム・トーク」の今回は、同館の岡田享子学芸員が担当。3回にわたって、同展の内容について教えてもらう。第3回は「村上和美さんのお気に入り」。
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兵庫陶芸美術館では、2023年8月27日(日)まで、特別展「デミタスカップの愉しみ」を開催しています。本展は、デミタスカップ収集家、村上和美氏の2000点を超える所蔵品の中から、マイセン、ウェッジウッド、ミントン、セーヴルなど、欧州の名窯が19~20世紀に生み出した作品を中心に、珠玉の約380点を紹介します。
今回、取り上げるのは、「村上和美さんのお気に入り」です。
展覧会会場では、村上和美さん自身が選んだ20点の出品作品について、それぞれメッセージが寄せられています。その中のいくつかを、写真とともにお披露目します。
村上さんといっしょに鑑賞しているつもりで、じっくりとご堪能ください。
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【コールポート《金プラチナ彩菊花文(きんぷらちなさいきっかもん)カップ&ソーサー》1881-1890年】
「2012年4月11日 デミタスコレクション・ナンバリング第1番目の作品。ここから作品を紹介する毎日のフェイスブック(Facebook)投稿が始まりました。コレクションの初めの一歩として記念すべき1客です」
【カミーユ・ノド《プリカジュール草花文(くさばなもん)カップ&ソーサー》1900年頃】
「このデミタスは雲の上の幻のような存在でしたが、最近、不思議なご縁で出会いが叶いました。中国の玲瓏磁器(蛍焼き)に啓発され軟質磁器にエナメル七宝を施したプリカジュール(plique-a-jour)というこの技法は再現が困難で、このデミタスの存在自体が奇跡と言っても良いのかも知れません」
※plique-a-jourの「a」はアクセント符号付きの文字