大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園)で開催中の特別展「恐竜博2023」で、「ケラトプス科の未記載種」として展示されている恐竜について、角竜の新種であることがわかり、このほど新属新種「フルカトケラトプス・エルキダンス」として記載され、命名された。
発表を行ったのは、国立科学博物館の石川弘樹連携大学院生(地学研究部 / 東京大学 理学系研究科 地球惑星科学専攻)、對比地孝亘研究主幹(地学研究部 生命進化史研究グループ)、真鍋真副館長で、大阪市立自然史博物館では、「恐竜博 2023」の会期中、「フルカトケラトプス」の実物化石を引き続き展示するほか、9月3日(日)には、記載論文の筆頭筆者・石川弘樹さんの講演会を開催する。
角竜は、トリケラトプスなどに代表される植物食恐竜の仲間で、特に白亜紀の終わりごろには特徴的な角やフリルを発達させた多種多様な角竜が出現し、北米や東アジアで繁栄していた。この標本が発見されたのは、アメリカ・モンタナ州にあるジュディスリバー層の7560万年前の地層で、国立科学博物館では2018年に入手し研究を進めてきた。
角や吻部(ふんぶ・上顎の先端)に、すでに知られている種とは異なる特徴(目の上の角芯が大きく前方に伸び、やや内側に曲がること。鼻骨の一部が前上顎骨に外側から被さるようになっている)があることから、新種として記載した。
またこの標本は、全長約3.5メートルの推定年齢3歳未満の若い個体であることがわかった。ジュディスリバー層から見つかった角竜としては完全度も保存状態も最高レベルの化石で、ジュディスリバー層で見つかる角竜に関する分類学的・解剖学的な理解を進める可能性を持っているという。研究チームは今後も研究を進めるとともに、同じ場所から発見された角竜以外の化石についても研究を進めている。
「フルカトケラトプス」とは、フォーク状の角のある顔を意味し、今後研究例の乏しい骨の形態を明らかにする標本であることから、光を当てるものを意味する「エルキダンス」と命名された。
特別展「恐竜博 2023」
2023年7月7日(金)~9月24日(日)
大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール
休館日 月曜日(祝休日の場合はその翌日)