茶畑眺めながら五感で楽しむ「茶園カフェ」 元サラリーマンが銘茶300年の歴史継承 兵庫・神河町 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

茶畑眺めながら五感で楽しむ「茶園カフェ」 元サラリーマンが銘茶300年の歴史継承 兵庫・神河町

LINEで送る

この記事の写真を見る(4枚)

 兵庫県神河町で300年以上続く銘茶ブランド「仙霊茶(せんれいちゃ)」。現在そのプランドを背負うのは、かつて医療系メーカーで営業マンとして働いていた45歳の男性です。元サラリーマンのオーナー・野村俊介さんに、仙霊茶の歴史や茶畑を経営するようになった経緯、受け継がれた銘茶の現在について聞きました。

☆☆☆☆☆

 仙霊茶のふるさと、神河町は兵庫県の中央部に位置します。300年ほど前、寺の住職が、神河の風土がお茶の栽培に向いていると見抜き、農家に副業として茶葉の栽培を呼びかけたのが始まりとされているそう。当初は、神河町一帯の農家の家の裏庭の1、2畝ほどの土地で茶葉を栽培。収穫した茶葉の集めて選り分け、天皇家ゆかりの尼寺だった京都の宝鏡寺(京都市上京区)に納めていたとのいわれがあります。

仙霊茶では、無肥料・無農薬で栽培を行う
仙霊茶の茶畑

 野村さんが仙霊茶に出会ったのは2016年頃のこと。野村さんは、大学卒業後10年以上医療機器メーカーの会社員として働いていました。そして東京勤務を経て神戸に戻ってきた頃、新規事業を企画する部署での仕事や同級生と再会をきっかけに、農家として作物を育てる生活に可能性を見出し、36歳の時に脱サラ。友人を頼って朝来市に移住し、新規就農者としてショウガとゴマの栽培を始めたそうです。

 やがて野村さんのもとに、農業を志す若者が訪れるようになりました。そして、ある若者が「農家になりたい」と訪ねてきたことを機に、新規就農者を募集していた仙霊茶の茶畑を訪問。初めは同伴するだけのつもりだった野村さんでしたが、およそ7ヘクタールの青々とした茶畑に一目惚れ。その美しさには感動すら覚えたといいます。

仙霊茶の茶畑
仙霊茶の茶畑  無肥料・無農薬で栽培している

 じつは当時の仙霊茶は、高齢化や後継者不足で生産組合が解散し、廃業目前でした。状況を知った野村さんは、地元の人たちのもとでの2年間の研修を経て仙霊茶の事業を継承。スタートアップとして、栽培や販売を始めることにしたのでした。

 現在、野村さんは、年間500〜600キロほどのお茶を無農薬・無肥料にこだわって生産・販売するとともに、茶畑の中でお茶や菓子を楽しめる「茶園カフェ」も運営しています。茶畑の景色に惚れて経営を始めた経緯もあり「美しい風景を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごしてほしい」との思いがあるそう。

 カフェでは、茶園の中に配置したテーブルに、茶葉と急須、お湯などを用意。スタッフの説明を受けつつ、訪れた客が自らお茶を淹れるスタイルになっています。

茶園カフェでは、自分でお茶を淹れて楽しむことができる
自分でお茶を淹れて楽しむことができる「茶園カフェ」

 地元のお店で販売されている和菓子やパンなどのフードメニューも取り扱うなど、地域との連携も進めています。3月〜11月のみオープン。青空の下で穏やかな時間を過ごそうと、各地から人が足を運ぶ観光スポットの一つにもなっています(事前予約制)。

※ラジオ関西『Clip火曜日』より

「仙霊茶 茶園カフェ」
所在地:兵庫県神崎郡神河町吉冨1873
Open:3月〜11月 事前予約制 ※前日までに電話かメールで予約が必要。
料金:飲食代+茶園利用料500円(お茶は500円〜、お菓子は200円台〜)
公式ホームページ

LINEで送る

関連記事