コロナ禍の影響によって、社会的な課題となったコミュニケーション不足。実はいま、そんな悩みを解消するためのサービス「社長のおごり自販機」が話題を呼んでいます。さらには、全国初となる賃貸住宅への導入も開始。同サービスの導入を決めた、阪急阪神不動産株式会社の担当者に話を聞きました。
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この自販機は、2人1組でカードをかざすことによりドリンク2本を受け取ることができるサービスで、サントリー食品インターナショナル(本社:東京都港区)が提案しているものです。職場での雑談のきっかけ作りを目的としていることから、社内コミュニケーションの活性化を目指すさまざまな企業が賛同。全国各地でサービスの導入が進められているといいます。
そして今年9月、全国で初めて賃貸住宅に導入されました。同自販機が導入されたのは、コミュニティ型賃貸マンション、ジオエント西宮北口です。阪急西宮ガーデンズ(兵庫県西宮市)の4つめの施設としてオープンした複合施設・プラス館の10〜14階部分に展開される居住スペースです。
入居者間でのコミュニケーションを創出するために導入された同自販機は「西北のおごり自販機」と名づけられ、現在、毎週土曜日に稼働しています。
全112戸のうち1K・1Rが多くを占めていることから、単身者の利用が多い同マンション。ひとり暮らしだと周囲との関係構築が難しいため、気軽に近所付き合いができるような仕掛けとして多種多様な共用スペースが設置されているのが特徴です。「リビングラウンジ」「ワークルーム」のほか、入居者同士でのミーティングなどを行うことができる「レンタルルーム」など、さまざまなシーンが想定されています。
「ただ単純に共用スペースを設置するだけでは、入居者間での対話は生まれない」という考えのもと、同マンションには、人と人をつなぐための“コミュニティマネージャー”が定期的に駐在。入居者限定のイベントを開催することで、会話のきっかけを生み出しているといいます。イベントはマンション内での開催だけでなく、周辺エリアの探索など、住民のリクエストに応える形での実施もあるとしています。
自販機の利用も、まずはコミュニティマネージャーが声掛けをするところからの浸透を図っているのだそうです。たとえば、共通の趣味を持つ住民2人に利用を促すことで立ち話のきっかけを作り、そこから新たなコミュニティが生まれることも……。そこから趣味や遊び仲間となることもあれば、新たなビジネスチャンスや、友人・パートナー関係に発展する可能性もないとは言えません。
そもそも、なぜ賃貸住宅でコミュニティの醸成を図っているのでしょうか。