「河島英五さんのあのひと言は、未だに心に残っている」。
お笑いコンビ・ケツカッチンの高山トモヒロが、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組で、2001年に他界したシンガーソングライター・俳優の河島英五との思い出を振り返った。
河島と高山の出会いは、高山が、河島の娘でタレントの河島あみると一緒に仕事をしていた頃。あみるから「父が飲食店を始めるから来てみて」と声掛けを受けたのがきっかけだったそう。当時、自宅が河島の店と近かったこともあって訪れるようになり、その後、店で河島に一曲歌ってもらったことがさらなる縁となって足しげく通うようになったのだとか。
そのような中で河島から「一度だけ叱られたことがあった」と高山は明かした。
高山によると、20代後半~30代前半くらいでまだ若く“尖って”いた時期。昭和の芸人への憧れがあった高山は、「芸人は飲む・打つ・買うをしてナンボや!」との考えのもと河島の店で飲んでいた。そこで河島から言われた言葉が「ズドンと刺さった」のだという。
「お前、結婚して子どももいて、嫁が子どもの世話してるんやろ。家族すら幸せにできへん芸人が、世に出て他の人に愛されるわけないやん」。
高山は「英五さんの言う通り。(自分は)ここで酒飲んで騒いで芸人ごっこしてるだけや、と。そこから考え方が変わりました」と、河島のひと言が、高山の芸人としての意識に変化をもたらした出来事を回想した。
さらに高山は、河島の“男前”エピソードも披露した。
当時、高山が担当していた名古屋のテレビ番組のAD(アシスタントディレクター)が河島のファンだったのをきっかけとして、河島にその番組へのゲスト出演を打診。地元関西でもメディア露出の少なかった河島が「高山が出てる番組ならええよ」と快諾し、岐阜県・郡上八幡でのロケが実現したときのことだ。
番組の台本では、吉田川に架かる橋の上、高さ12メートルのところから川へ飛び込むイベントに河島が出場することになっていたそう。さすがに河島も渋るのではないかと考えていた高山。しかし河島は、主旨説明を受けた途端「あ、ええよ」と承諾。そのまま橋の欄干に立ち、ためらうこともなく川に飛び込んだのだとか。高山は「普通は『怖い、無理や! カウントダウンしてくれ。……やっぱ無理や!!』って尺(時間)を稼ぐとこでしょ。でも(河島は)10秒とかからず飛び込んだんです」と、その潔さを伝えた。
河島の“男前”ぶりはそれだけに留まらなかった。番組エンディングでのサプライズの行動がスタッフの胸を打ち、他では撮れない映像まで撮影できたというのだ。