環境に優しく災害に強いエネルギーとして、いま改めて注目を浴びているのが「LPガス」です。兵庫県北部、但馬地域の豊岡市、養父市、朝来市、香美町、新温泉町の3市2町では、約1万戸でLPガスがメインエネルギーとして利用されています。
同地域のLPガス環境を支えている一人が、兵庫県LPガス協会・但馬支部副支部長の木村嘉男さん。木村さんによると、但馬地方で生活密着エネルギーとして利用されているLPガスは、災害時に、たとえ自宅で使えなくなっても隣家が稼働していれば利用できるとのこと。その特性から、洪水により旧豊岡市内の約8割が浸水する事態となった2004年10月の台風23号のときも、普段から利用していたLPガスによって炊き出しをするなど、地域に住む人たちが協力し合って災害を切り抜けることができたそうです。
木村さんも地域の一員として取り組みに参加しました。自身が代表取締役を務める但馬米穀が会社を構える工業団地が自宅に帰れない人であふれたことから、炊き出しを実施。自社商品の米をLPガスを使って炊き、おにぎりにして近隣企業に配布したのだそうです。
このように、災害発生時に強く復旧が早いのがLPガスの利点である一方、水害の際にはボンベが水に浮いて流れていくという、LPガスならではの危険性もあります。そのため、同協会但馬支部では2004年の洪水を教訓とし、ハザードマップをもとに、ガスボンベの流出を防ぐためベルトの二重掛けやネットでの補強を実施するなど、さまざまな対策を講じているといいます。
そして2014(平成26)年、兵庫県LPガス協会但馬支部は、但馬地域の3市2町と「災害時におけるLPガス等の供給に関する協定」(災害時支援協定)を締結。大規模災害が発生した際、各市町が設置した避難所などにLPガスを優先的に供給するとしており、市民の避難所生活の快適性を高めるために締結されました。
避難所では、冬の厳寒や夏の酷暑などが命に関わる問題となっていることもあり、「分散型エネルギーによる空調の導入が急がれています」と木村さんは話し、同協会から避難所となる体育館などへLPガスの供給を働きかけていると語りました。
※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』より