今月末、中国への返還される予定だった神戸市立王子動物園(同市灘区)のジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」の飼育契約が延長され、2024年末までとなったことを27日、同園が発表した。心臓の疾患があるタンタンの体調を考慮した措置で、返還の再延長は今回で5回目となる。タンタンは28歳の雌で人間であれば80代に相当し、現在国内にいる9頭のパンダの中で最高齢。
会見した同園によると、「中国へ輸送するリスクが大きい」と日中双方の専門家が判断、さらなる延長が決まったという。タンタンは2021年春、心疾患が判明。その後は強心薬や利尿薬を投与しながら必要に応じて腹部から水分を抜く措置などを実施。寝室の隣に数台の酸素供給装置を置き、酸素濃度を高めて体調維持に努め、ストレスのない範囲で心電図や血圧測定、超音波などの検査も継続してきた。
だが今年10月以降、食欲が衰え、1日の大半の時間動かず、長く眠るようになった。体液もたまり、健康だった際の体重約80キロから現在は約100キロに増加。元気な時に好んでいたタケノコなどは食べなくなったため、粉薬を混ぜた液体の栄養食を与えているという。
身体機能は落ちたものの、直ちに危険という状況ではなく、加古裕二郎園長は「できるだけ病気の進行を遅らせたい。タンタンが快適に暮らせるよう『タンタンファースト』で治療していきたい。温かく見守ってほしい」と話している。
タンタンは2000年7月に来園。2度の契約延期を経て2020年に帰国する予定だったがコロナ禍や体調不良などのため、1年ずつ返還が延ばされてきた。昨年3月から一般公開を中止している。