1月に見掛けるスイーツ「カレッド・デ・ロワ」。近年日本でも人気が高まっているフランスの伝統菓子です。しかし、その背景などはまだ広く知られていない部分もあるようです。そこでラジオ番組の中で、スイーツコーディネーターの松本由紀子さんに詳しく聞きました。
松本さんよると、「ガレット」は菓子、「ロワ」は王様。つまりガレット・デ・ロワは「王様のお菓子」という意味。フランスでは年が明けると、菓子店やパン店の店頭を埋め尽くすかのように、このガレット・デ・ロワが並ぶのだとか。
日本では“新年”と結びついた菓子と捉えられている向きがありますが、本来はキリスト教の祭日である1月6日の「公現祭(こうげんさい)」(※1)を祝って食べるもので、家族や友人など大勢が集まる場で切り分けるのが一般的だそうです。
丸型のパイ生地の中にアーモンドクリームが絞り込まれ、表面には、太陽や麦の穂など繁栄や豊穣を意味する模様があしらわれています。その美しさに感嘆の声を上げた番組パーソナリティに、松本さんは「小型のナイフで彫って模様をつけていく。ものすごく繊細で細やかな作業」と説明しました。
そして特徴的なのは、アーモンドクリームのどこかに、「フェーヴ」と呼ばれる指先大の小さな陶器の人形が隠れていること。
フェーヴは、元来そら豆の形でしたが、今は動物や乗り物、お菓子などさまざまな種類があり、誰に当たるか、何がでてくるのか、心が躍ります。オリジナルのフェーヴを作る店舗も増えてきています。
そしてフェーヴが当たった人は、“王様(女王様)”として王冠を被り周りの人から祝福を受け、その年一年にわたって幸運が続くとされています。このくじ引きのようなゲーム性も、人気を押し上げている理由と言えそうです。
この日は、兵庫県宝塚市のパティスリーのガレット・デ・ロワがスタジオに登場。試食したパーソナリティは「シンプルでおいしい」「めちゃくちゃ甘いということもなく、大人も好きそう」と感想を寄せ、松本さんは「シンプルながら、バターとアーモンドのリッチな香りがたまらなく、(シェフの)十人十色の味わいと食感を楽しめます」と話しました。
松本さんいわく、この4〜5年で急に人気が高まってきたというガレット・デ・ロワ。「予約で早々に完売してしまっているお店も多いですが、1月中はまだ販売されているお店があると思いますので、ぜひ見つけて食べていたいです」と松本さんは呼びかけました。
※1 キリストが公に現れたこと(あるいは、神の栄光がイエズス・キリストを通じて人々に現れたとも)を祝う行事。東方の3人の博士がキリストを礼拝しようと訪れ、キリストが顕現したとされています。
※ラジオ関西『Clip』2024年1月9日放送回より