姫路信用金庫(本店:姫路市十二所前町105)はこのほど、取引先企業の景況感を調べる「景気動向調査」を行い、結果を「ひめしん景況レポート(2023年12月期)」として発表した。 調査は同年12月上旬、取引先450社を対象に実施。445社から回答を得た。対象期間は23年10月から12月まで。
同金庫の調査は、1975年から4半期に一度実施しており、今回は193回目。対象は兵庫県播磨地域から明石市、神戸市にかけての企業で、「製造業」と「非製造業(卸売、小売、運輸・サービス、建設、不動産)」の計6業種に分けて行う。対象のうち85%が従業員50人未満の規模と、中小企業や地場産業の業況を反映した調査となっているのが特徴だ。
調査の結果、全体の業況判断DI(景況が「良い」と感じている企業の割合から「悪い」と感じている企業の割合を引いた指数)は、全業種の総合で、前期(23年7-9月期)から横ばいの▲5だった。 業種別で見ると、「製造業」は前期から2ポイント増の▲4。一方「非製造業」は前期から1ポイント減の▲6となった。
「製造業」では21業種中、輸送用機械器具や食料品、建築用金属製品などの7業種で業況の改善が見られた。一方、金属製品や一般機械器具などの6業種で悪化。来期の予想業況判断DIは、今期から8ポイント減の▲12と悪化の見通しで、中国経済鈍化の影響による低調や、慢性的な人手不足が課題となっている。同金庫の三宅智章専務理事は、「人手不足の原因をいくつかに分析をして対応していくことが大事」としている。
「非製造業」では、小売業では改善したものの、運輸・サービス業では小幅改善、建設、不動産の2業種で悪化、卸売でやや悪化した。来期の予想業況判断DIは、不動産業のみが横ばい、他業種は軒並み悪化と予想している。特に卸売業では、今期から12ポイント減の▲16と、大幅悪化となる見通し。こちらも、中国への売り上げの減少や、人件費などを十分に販売価格へ転嫁できていないことによる利益率の低下、消費者の買い控えなどが特徴として挙げられた。
また今回同金庫では「2024年度の景気の見通し」をテーマにした特別調査を実施。「2024年の自社の景況をどのように見通しているか」との問いに対して、全体では「良い(3項目合計)」の回答割合が63.4%となり「悪い(3項目合計)」の6.1%を大きく上回った。また、「良い」の回答割合は、コロナ以降(2020年)の調査以降で最も高くなっている。
一方「近年、販売価格や仕入れ価格に上昇の傾向がみられるが、2024年を展望したとき、価格面の動向をどのように見通しているか」との問いに対しては、仕入れ価格の緩やかな上昇による販売価格への影響を憂慮している感がうかがわれ、本格的な景気回復は道半ばと考えられる。
同金庫担当者は「2024年、世界情勢や日本国内の政策の動き、自然災害など、経営者には今まで以上に予想しがたい外部要因が降りかかってくるかもしれない」とした上で、「顧客の個別・具体的な情報を迅速にキャッチし、長期的・短期的な時間軸で総合的視点を持って分析。顧客の真の課題を洗い出して、その解決を導き出す伴走型支援を引き続き継続したい。更には、変化に対応した次なるステージ・ビジネスモデルをお客様目線でともに描き、発展していければ幸い」と締めくくった。
なお同金庫は、「ひょうご信用創生アワード」(主催:兵庫県信用保証協会)における23年度の最優秀事例に選出され、同年11月に表彰を受けた。同アワードは、兵庫県内の中小企業・小規模事業者への金融・経営支援に取り組み、成果を挙げた事例を顕彰するもので、田中繊維株式会社(兵庫県加古川市)に対する同金庫の伴走型支援の取り組みが評価された。