神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で、カテーテル治療後に複数の患者が死亡するなどした問題で、医療問題に精通した弁護士グループが22日、病院側に医療法に基づく適切な調査実施を求める申し入れ書を送付した。
グループは、兵庫医療問題研究会に所属する医療過誤問題に精通した兵庫県内の弁護士15人で構成されている。
この問題の原因調査や再発防止策などの提言を目的として、2023年8月に「神戸徳洲会病院被害弁護団」を結成した。
神戸徳洲会病院では2023年1月以降、 循環器内科の男性医師がカテーテル治療を行った後に心臓病患者が死亡している。 このうち、一部の患者の電子カルテで記載漏れが判明、治療の経過や死因を患者の家族に説明した記録もなかった。
この男性医師は、患者の容体が急変した後も状態を確認していなかったという。
弁護団は、心臓カテーテル治療での重篤な合併症の発生率が約1%、カテーテル検査の場合は約0.1%とされる一般的なデータを基に、この男性医師が行ったカテーテル治療・検査の件数のうち、死亡・容体悪化を招いた合併症発生率を調査する必要性を訴えている。
弁護団によると、2023年3月に病院の医療安全対策室長が徳洲会本部に報告した「死因不明」の2件だけが、医療法上の事故調査対象となったに過ぎないという。
今回、調査を申し入れた理由として「本来、神戸徳洲会病院が事故調査の対象とするべき案件でも、調査対象から外している可能性がある」と述べた。
弁護団では、被害にあった患者や家族からの相談を受け、その立場で原因の調査や被害者の救済、再発防止策などを提言する動きにつなげたいとしている。相談は無料。
兵庫医療問題研究会のホームページ(http://www.hyogo-iryoken.com/)から申し込みができる。申し込み後、担当弁護士から直接連絡する。
TEL 078-371-5617 ※平日9時~12時、13時~17時 土日祝は除く
FAX 078-341-4439
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この問題をめぐっては、2023年9月、新型コロナウイルスに感染して入院していた糖尿病の持病をもつ70代の男性患者に、主治医だった院長が数日間インスリンを投与せず、男性が入院から10日後に死亡したことが新たに発覚している。病院側は当初、遺族に投与ミスについて明確に伝えていなかったという。
こうしたことから、神戸市が近く、医療法人徳洲会に対して「入院患者に糖尿病の既往歴があるのを見落とし、適切な医療措置を怠った」として、医療法に基づく改善命令を出す方針を固めている。