『ブルーロック』『葬送のフリーレン』など数多の効果音制作 四国が拠点 フォーリーアーティストとは | ラジトピ ラジオ関西トピックス

『ブルーロック』『葬送のフリーレン』など数多の効果音制作 四国が拠点 フォーリーアーティストとは

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 大人気アニメ『葬送のフリーレン』『ブルーロック』『SPY×FAMILY』などの効果音を作る会社が、四国にあるということをご存知でしょうか。

 香川県高松市にある株式会社evance(エヴァンス)は、アニメや映画、ドラマ、ゲームなどの映像作品の効果音を付ける音響効果の中でも、“足音”や“物を置く音”、“咀嚼音”など、人が動く音を中心とした「フォーリー」という分野の録音制作を行うスタジオです。

YouTubeチャンネル「Foley Artist MASAFUMI WATANABE」よりスタジオの風景

 アニメやドラマで使われる“雨の降る音”や“電車の音”などの効果音は、野外録音をしたりCDなどの効果音集に収録されている音を使用したりすることもありますが、フォーリーの制作現場では、実際に映像を見ながら、その映像やアニメが動く様子に合わせて、体や物を使って音を作り出します。フォーリーという言葉は、効果音制作者のジャック・フォーリーさんが由来になっているそうで、単なる録音技術者というわけではなく、作品の音響効果を高める「フォーリーアーティスト」と呼ばれています。

YouTubeチャンネル「Foley Artist MASAFUMI WATANABE」よりフォーリー収録風景

 フォーリーの制作現場での作業をざっと見ていきましょう。はじめに「音の入っていない」アニメや映像素材が送られてくるそうですが、映像によっては下書きの状態や未完成の場合も。それでも、スタジオ内でその映像を見ながら、登場人物の動きや、物が動く様子に合わせて、音づくりが始まります。

 例えば、女の子が森を走っているアニメでは、スタジオの中に土の地面を用意。その上で実際に動きに合わせて、走る音を録音します。木の茂みに入る音は、録音テープをクシャクシャに丸めて袋に入れた物。そして風を切る音は、マイクに向かって口で「ヒュー」と吹き込みます。他にも、机にかばんを置く音、緊張したときに服がすれる音など……映像作品に溶け込んだその音たちは、実際にはいろいろな「別の物」を使って作り出され、ある意味、リアルそのものよりも心に響くように、フォーリーアーティストが仕掛けています。

 時にはアニメ監督や音響監督からほとんど音の指示がないこともあり、「お任せ状態」という中での制作も。どんなシーンで、何を使って、どんなふうに収録すれば効果的な音が入るのか、それを知るのはフォーリーアーティストのみ。感性や感覚に頼られる仕事のため、「音の魔術師」と表現されることもあります。収録時には映像が未完成のものが多いため、例えば足音を収録する場合でも、その地面がどんな場所で、どんな靴を履いているかなど、確認を行わなければいけません。

 これまで『葬送のフリーレン』『ブルーロック』『SPY×FAMILY』以外にも、『君の膵臓をたべたい』や『東京リベンジャーズ』『無職転生』をはじめとする数多くの有名なアニメ作品や映画、ドラマのフォーリー制作を手掛けてきた、株式会社evance。フォーリーアーティストで2024年冬アニメでは『外科医エリーゼ』を担当する松岡由衣さんは「空気になることが仕事」と言います。違和感のない、あくまで効果音でありながら、その音によって作品が引き立てられている、というのがフォーリーの音制作。ただ自身が他のドラマやアニメを見るときには、どうしても効果音が気になって作品に集中できないこともあるのだとか。

 スタジオ代表でフォーリーアーティストの渡邊雅文さんは、作品を手掛ける傍ら、専門学校や大学での特別授業、業界同士がオンラインで交流できるプラットフォーム運営など、クリーター育成につなげる活動も行っています。またスタジオのある香川の地域を盛り上げたいと、小学生に効果音をつくるワークショップを行い、子どもたちにも好評のようです。


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おしえて!サウンドエンジニア ~ギジュツLOVE~ | ラジオ関西 | 2024/02/13/火 17:55-18:00

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