兵庫県伊丹市の藤原保幸(ふじわら・やすゆき)市長が、7日、ラジオ関西の生番組に出演し、「清酒発祥のまち・伊丹は、市民主体のイベントが多く行われ、行政はまちの景観を守るなどのサポート役。市民力、地域力でにぎわいが生まれている」と、市の魅力について語った。
伊丹市は兵庫県の阪神地域にある人口約20万人のまち。大阪や神戸などへの鉄道のアクセスがよい上、立地する大阪国際空港(伊丹空港)からは、北海道から九州・沖縄までの主要空港へ2時間以内で行くことができる。藤原市長は「都会的な利便性という面でも良い街だと思うし、合わせて自然が残っているのが魅力」と話した。特に、昆陽池(こやいけ)公園は関西屈指の野鳥の飛来地で、カモやサギなどのオアシスとなっている。藤原市長は「先日は、なんとコウノトリが飛んできた。都市部の公園でコウノトリが見られるのも伊丹の売り」と胸を張った。
伊丹市は「清酒発祥のまち」として知られる。1600(慶長5)年に、それまで主流だった濁り酒ではなく、澄んだ酒「清酒」の製法が伊丹の地で生まれたと伝えられる。江戸時代になり、伊丹や灘五郷から清酒が江戸へ送られるようになり、上方から来た「下り(くだり)酒」と呼ばれ、珍重された。「つまらない」という意味の「くだらない」の語源にもなっている。藤原市長は「歴史ドラマなどを観ていると、歴史考証がされているかどうか、お酒の色でチェックしてしまう」と微笑んだ。
『「伊丹諸白(もろはく)」と「灘の生一本」下り酒が生んだ銘醸地、伊丹と灘五郷』が、2020(令和2)年に文化庁の日本遺産に認定されたことにも触れ、「日本酒がテーマの日本遺産は伊丹・灘だけ」と話した。
伊丹市には現在、「小西酒造」「伊丹老松酒造」2つの酒蔵がある。JR伊丹駅の西側のエリアはかつて酒造業で栄え、酒蔵や歴史的な景観が残る「酒蔵通り」として整備されている。藤原市長は「歩いて楽しいまちづくりを、お酒をテーマにしてやってきた」と話した。同時に「伊丹市民は、伊丹のまちが大好きでお酒好きの人も多く、市民主体のイベントも多く行われている。伊丹の市民力、地域力」とし、「行政は地域の熱心な取り組みをサポートするのが役目」と話した。
そのひとつが、2月11日に行われる「第27回白雪蔵まつり」と、同時開催の「いたみ冬の元気まつり」。藤原市長は「私も法被を着て、お酒の振る舞いをさせてもらう。気軽に声をかけて」と呼びかけた。会場では、能登半島地震の災害支援募金箱も設置することにしており、「阪神淡路大震災で伊丹も大きな被害があり、全国から支援を受けた。その後、災害が起きるたびに支援する側として恩返しをしていて、能登半島の被災地にも職員を派遣し、復興のお手伝いをしている」と、語った。