昨年秋、大阪・御堂筋の中央分離帯で結実しているのが見つかり、話題となった「ど根性スイカ」。その種から発芽した苗5株が植物園「咲くやこの花館」(大阪市鶴見区)内の畑にこのほど植え替えられた。苗は葉を複数枚付け、つるを伸ばして順調に成長しており、同館の広報担当者は「『2世』が元気に育って実がなるよう、皆さんとともに見守っていきたい」と話している。
「ど根性スイカ」は昨年10月、同市北区の御堂筋で、中央分離帯の植え込みに自生する姿が発見された。昼夜を問わず多くの車が行き交い、水や肥料が与えられることもない「逆境」だったが、スイカは直径約10センチの小ぶりな実を付けていた。道路を管理する大阪市は、見物人の事故などを防ぐため、同月中旬、根から掘り起こして植え込みから撤去した。
10月20日~11月5日にかけて咲くやこの花館で一般公開していたが、「中身はどうなっているのか」「見てみたい」との要望が相次いだことから、11月11日、「切ってみる会」を開催。スイカをカットし、集まった数十人の入場者に試食を振る舞った。食べた人からは「予想より甘い」「おいしい」との声が上がったという。
その際に採取した種は約80粒。5月21日、種の一部を育苗ポットにまいたところ、27日から順に発芽した。今回はその中から5つの苗を畑に植え替えた。残りの種も発芽可能とみられる。
同館によると、一般的にスイカは、畑に植えてから花が咲くまでが1~2か月、受粉してから40日程度で市場にみられるような姿になるが、その間の気候や降水量などによって、タイミングは前後するという。広報担当の谷上武さんは「病害虫はもちろんのこと、近年の猛暑や豪雨、カラスなどの鳥獣害のリスクもある。植物担当者はそれら諸々の点に留意しながら育てていきます」と語った。